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自由の商人エヴァンス物語  作者: 橘 六六六
五章 三変人
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【86】ジュエルズマウンテン




 ソリッドチーターは物凄い速さでストラディアヘルバードの住むジュエルズマウンテンへと向い、息をする間も無く辿り着いた。


 ブラックとスパイダーはストラディアヘルバードの住処を探してジュエルズマウンテンを登った。ジュエルズマウンテンはその名の通りに、たくさんの鉱石が存在して山その物も宝石の様に輝いていた。その美しさを余所に落ち着かない気持ちでブラックとスパイダーはあの巨大な怪鳥ストラディアヘルバードを探している。


 そんな中で中腹程へ辿り着くと、時折身の丈程の鳥の羽が岩々に突き刺さっているのが二人の目に入った。そしてスパイダーはブラックへ訊ねた。


「あの様な巨大で凶暴な鳥の近くへ行くだなんて、ブラック君は恐ろしく無いのですか? 私は内臓が口から出て来そうな程に恐怖を感じます。」


「そりゃ、おいらだって恐ろしいですよ。だけどエヴァンスさんが言うとなんだか成功する気がするんですよ。おいらは肉人形へ辿り着いたらソリッドチーターから飛び降りるから、スパイダーさんはそのまま逃げてください。」


「『なんだか成功する気がする』言われてみたいものですね。実は私もそんな気がしてこの作戦に協力しているのですがね。」


「だったら後は成功させるだけです。」


そう言ってソリッドチーターを走らせると、ブラックの目に巨大な穴の中で寝ているストラディアヘルバードの姿が写った。いざ近付いてみるとストラディアヘルバードはまるで山のように大きく、その上鋭く硬そうな羽に覆われている。ブラックとスパイダーはその姿に身を震え上がらせた。


 寝ている間は安全ではあるが、それでは目的地まで誘導する事は出来ないので二人は息を飲みながら、目を合わせてストラディアヘルバードを起こす事にした。ブラックは一度ソリッドチーターの背中から降りて足下の石を拾い投げ付けた。しかしストラディアヘルバードは大きく頑丈で、砂埃一粒が当たった様な衝撃しか来ないので眠り続けている。


 ブラックは眠り続けているストラディアヘルバードに少しホッとしながら、このまま作戦を中止することも考えた。しかしこの作戦が上手く行けばモンパカ交易社への多大な貢献に繋がる。そう思った。


 ブラックは今まで役立たずの召喚師として蔑まれ、冒険者パーティーに加えてもらえなかった過去を思い出した。そして荒んで何時死んでも良いと腐っている自分の話しを聞いて会社の中で自分を役立ててくれたエヴァンスの事を思い拳を強く握った。


 そして杖で魔方陣を描き『ボムスカンク』を召喚した。ボムスカンクは召喚されるとお尻から黒く丸い爆弾をストラディアヘルバードの顔へと飛ばした。そしてその爆弾が破裂するとボムスカンクは姿を消してしまった。ボムスカンクの爆弾は破裂すると穴一面に悪臭を放ち、その刺激に涙を流しながらブラックはストラディアヘルバードの巣穴から逃げてソリッドチーターの背中へ乗った。


 ストラディアヘルバードはボムスカンクの放った悪臭爆弾で目を覚まして雄叫びを上げた。そして余りの臭さに翼をバタつかせて、巣穴を破壊しながら表へと出てきた。しかしブラックはそれでもソリッドチーターを走らせずに、その場でマジックポーションを飲み始めた。スパイダーは


「早く逃げよう。」


とブラックに言うが、ブラックは


「もっと惹き付けないとですね。」


そう言うとストラディアヘルバードへマジックポーションの瓶を投げ付けた。丁度その瓶が目に当たったストラディアヘルバードは怒り狂いブラック達を睨み付け、ブラックとスパイダーは震え上がり動けなかったが、ソリッドチーターはその恐怖に防衛本能から走りだした。ブラックとスパイダー咄嗟の出発に慌ててソリッドチーターにしがみついて、後ろから追ってくるストラディアヘルバードを振り返った。





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