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自由の商人エヴァンス物語  作者: 橘 六六六
一章 新しいエヴァンス
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【4】新たなる行商




◼️◻️◼️◻️



 お酒を飲んだ次の日は体内の水分が足りずに、水を求めて目を覚ます事がある。彼、エヴァンスも同じで、ベッドから這いずり出ると水を求めて土間の水瓶へと向かって匍匐前進で近寄ると目の前に邪魔な物が在った。


 エヴァンスはワルキュリアに摘み上げられ、ポポロとローバインに睨まれている。エヴァンスは


「お前らどうしたんだよ? それより水を飲ませてくれよ。」


そう言うエヴァンスに、ワルキュリアは


「私達の胸や帽子やパンツの中にドルトリアガニを入れたのはエヴァンスさんでしょ。あの後、大変だったんですよ。」


そう言って睨むと。酔っ払って記憶の無いエヴァンスは真剣な顔をして


「何の話だよ。知らねえよ。」


「本当に知らないんですかエヴァンスさん。」


そう言うローバインにエヴァンスは頷いて、ワルキュリアに吊り上げられたまま顎に手を置いて


「さてはゲイルークの奴等がやったのかも知れない。先日フロイツさんも側近の裏切りにより失脚している。僕のエヴァンス商会を乗っ取ったのはゲイルーク=ゲシュテル。そしてフロイツさんを失脚させて社長に就任した人物はトリシュ=ゲンドルシュ。実はこの二人の名字はゲンシュタット帝国のゲンシュタット家から派生した一族の名字であるんだよ。」


そのエヴァンスの適当な話しを聞いてローバインはハッとした顔になり、考え込みながら


「流石エヴァンスさん。以前ワルキュリアさんがゲンシュタット帝国と間違えて滅ぼしたバスキリア帝国のジョージ=バスキリアはポンドゥロア公国で商いを行ない、ポンドゥロア公国を乗っ取る勢いである事を噂されています。わたくし、少しダージリン=ドルトリア様にその件でお話しをお伺いして来ようと思います。」


そう言って、そのままローバインはドルトリア城へと向いテキパキ動いて歩いて行った。ワルキュリアは


「すみませんエヴァンス様。私達の早とちりで。」


そう言ってエヴァンスを下した。その一巡を見ていたポポロは真面目な顔をして


「ゲンシュタット帝国の内政に対する奸計だとするなら、ワタシ達はゲンシュタット帝国と戦う事になるわね。」


そう言っているのをエヴァンスは


(俺が適当に言ったことを皆真剣に考えてる...... 。)


と思いながら、(ひしゃく)で水を口に含み体に染み渡らせる様に飲み。フーッと息を吐くと


(このタイミングならローバインから逃げられる! )


そう思ったエヴァンスは荷物をバッグに入れて本棚の裏の壁を叩くと隠し棚が在り、そこから金貨の入った袋を取り出して


「ワルキュリア! ポポロ! 俺と一緒に仕事がしたいんだろ! 行くぞ! 」


そう叫ぶと3人で家を出てドアに


『ローバインへ行商に行って来ます。エヴァンス』


と書いた貼り紙をして。ポポロのモンパカ車の荷台へと飛び乗ると、ワルキュリアとポポロも続きベルファイアとアルファードは『ぴぴーん! 』と雄叫びを上げて空へと飛び立ち、ポポロは杖を振るいながら


「ところでエヴァンス。ワタシ等は何処へ行くんだ? 」


「そうだなー。ビールが美味しいって噂のポンドゥロア公国へでも行くか。ゲンシュタット帝国の先を越えて行こうぜ。」


「エヴァンス様ビールが美味しい国ってのはナイスアイデアですね! 」


そうワルキュリアもはしゃぎ出し、3人はビールの美味しい国ポンドゥロア公国へと雲の間を通り抜けて、昇り始めた朝陽を背景に青い空を突き進んで行った。以前にも乗っていたモンパカ車は相変わらず心地好く、エヴァンスは懐に隠していたローバインのブランデーを取り出して飲みだした。そしてブランデーの瓶をワルキュリアに投げると


「稼がなくても良いけど稼ぐぞー! 」


と叫び。ワルキュリアもブランデーを飲んでポポロに渡してこの心地好い大空に両手を広げて一行は3人での行商が始まった。




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