【81】体長1キロメートルの怪鳥
部屋へ入ると、ベッドの土台や家具も全て石で出来ていたが。ヒンヤリとしてそうな外観とは裏腹に部屋は温かかった。エヴァンスとスパイダーはこの状況を不思議に思い部屋の中を入念に調べた。
先ずランプの中は炎では無く発光する石が入っており、そらの明るさは蛍光灯と遜色の無い明るさであった。そしてタンスやベッドの家具も引き出しの開閉になんら引っ掛りも無い程に、綺麗に切り込まれていた。エヴァンスは発光する石を取り出して眺めながら
「コイツは売れるぞ。」
と呟いてランプへ戻すと、次に部屋の中央の四角い石に触れてみた。するとその石からは熱が放たれていて、この部屋の中を一定の温度で保っているのだった。スパイダーはエヴァンスの真似をして中央の石に触れると
「この石が有れば寒冷地でも豊かな生活が出来ますね。」
そう感心していた。そしてエヴァンスは窓を開けて風を入れると外からは物凄い大きな音が鳴り響いた。その音は町中に鳴り響き、如何にも緊急事態を告げる物であった。ポポロとスパイダーは耳を押さえたが、エヴァンスは窓によじ登り空を見上げ
「うおーっ! 何だアレは! でっけえ! 」
そう叫んだ。その言葉が気になり皆が窓に集まると空には体長1キロメートル程の巨大な鳥が空を飛んでいた。その鳥は真っ赤で凶暴そうな目付きを町に向けており、鋭く針の様に尖った青い羽を立たせて如何にもこの町を襲いそうであった。
先程の音は、あの巨大な鳥が現れた時に鳴らすサイレンの様で、町のあちらこちらに兵士達が砲台を構えている。エヴァンスの横でブラックが巨大な鳥を指差して
「あの鳥はストラディアヘルバードと呼ばれる鳥で体長は1キロメートル有ります。この町の人間を食べようと時々、あの正面に在る山から飛んできて町を襲うんです。まるで地獄から現れた使いの様に人々を連れ去るのです。」
そう話していると、ストラディアヘルバードは空で羽をバタつかせると町へ鋭く尖った羽を撒いた。遠く離れていると気付かないが、羽一枚一枚が人一人と同じ大きさで空から鋭く飛んできて石造りの家屋へどんどんと突き刺さって行く。そしてストラディアヘルバードは勢い良く上空から人々を狙って滑降してきた。町の兵士達は一斉に砲弾をストラディアヘルバードへ放つと直撃した砲弾は炸裂して中から、氷や炎の魔法が放たれてストラディアヘルバードに広がった。
そしてストラディアヘルバードが怯んだ所で、顔を目掛けて第二砲撃が始まった。砲弾は無数に直撃し、激しい爆発音を立てて炸裂し、魔法攻撃を加える。それを見ながらブラックが
「あの砲弾には魔石が使われており、様々な魔法を蓄えて放てるんです。ストラディアヘルバードは風の属性に耐性が有るので、それ以外の魔法で攻撃をしているのです。」
そう解説をしている。その間にも兵士達は砲撃を繰り返し、激しいダメージを与えている筈だがストラディアヘルバードの身体には全く傷つける事も出来て居ない。そこへ左右から兵士達がストラディアヘルバードの眼を目掛けて砲撃を行った。するとその砲弾は左右から顔へ命中すると眩い光を放ち町中が包み込まれた。ストラディアヘルバードはその光で
「ギィヨァアア! ギィイヨヨォアァアア! 」
と、けたたましい雄叫びを上げて山の方へと飛んでいった。
「あのストラディアヘルバードは何百年と、このストーンズの町を襲っているんです。その度にこの町の兵士達が戦うのですが、1度も倒す事が出来ずに、ああやって迎撃するので精一杯なんですよね。」
ブラックがそう説明すると、エヴァンスは
「あんなでっかい生き物が居るとは思わなかったぜ。こないだの猫の王より全然大きいじゃねえか。あんなもん倒せねえよ。」
そう言って驚きを隠せずにいた。




