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自由の商人エヴァンス物語  作者: 橘 六六六
五章 三変人
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【79】ドワーフの村




 エヴァンスとスパイダーとポポロとブラックの四人はドルトリア北東の森に在るドワーフの村へと出掛けた。スパイダーは初めて乗るモンパカ車に驚いてエヴァンスに訊ねた。


「何だこのアルパカみたいな動物は空を飛ぶのか? 」


「コイツはモンパカって生き物だ。それから別にコイツ等が飛ぶんじゃなくてポポロの魔力で飛んでいるんだ。」


エヴァンスはそう答えているうちに、モンパカ車はドワーフの村へと着いた。すると二人のドワーフが駆け寄って来て


「久しぶりだなエヴァンスさん。なあゴサークよ。」


「ああ久しぶりだな。ヨサークよ。」


と、以前エヴァンスが仕事を頼んでいたドワーフの職人、ヨサークとゴサークが話し掛けてきた。エヴァンスは喜んで二人と握手をすると


「ヨサーク、ゴサーク元気そうだな。今日は少しこのドワーフの村の製造技術を見学させてもらおうと思ってな。」


「おうそれなら構わんよな。ゴサークよ。」


「それは構わんよな。ヨサークよ。」


と快くヨサークとゴサークはエヴァンス達を案内してくれた。製造は簡略化されて若い者や女達で行われ、金型により大半の物は大量生産に対応されていた。村の中にはレールが配置されトロッコに似た荷台を走らせて、次の行程のある小屋へと流れて非力な者にでも従事出来る様になっていた。それをスパイダーは感心して眺めていると、ヨサークとゴサークは


「これはライン作業と言ってエヴァンスさんのアドバイスで完成したんだよな。ゴサークよ。」


「そうじゃな。最初は戸惑ったが、酔っ払ったエヴァンスさんが現れて作ったんじゃよな。ヨサークよ。」


「それは良いんだよ。必要な技術としてそうだな、ガラス工芸の技術何かを見せておくれよ。」


「そうか解った。なあゴサークよ。」


「ああ連れて行こうか、ヨサークよ。」


そう言ってヨサークとゴサークはエヴァンス達をガラス加工場へと連れていき、ガラス製品の数々をスパイダーへ紹介した。スパイダーは薄いガラスの板を手に取り横に向けたり光りに透かしたりして、驚きの表情でエヴァンスへ


「この世界にはこんな加工技術が有ったとは驚いたよ。これらは十分に製品として使えるレベルだ。」


「だから連れてきたんだよ。」


そう言ってエヴァンスはガラスの器に盛り付けられたリンゴを手に取り噛ると


「それじゃあ次ぎは材料探しだ。ポポロ、ブラックこれからは長旅になるぜ。」


そう言ったエヴァンスをヨサークとゴサークは眼を輝かせながら


「何じゃまた楽しい事を考えてたんじゃろ? ゴサークよ。」


「エヴァンスは面白い事を考えるからのう。ヨサークよ。」


と嬉しそうにしていた。そしてエヴァンスは楽しそうにヨサークとゴサークへ笑顔を向けると、ポポロはそんなエヴァンスを見て質問した。


「あんたゲイルーク商会の製品の製造を効率化を手伝ってどうすんのよ? あんたの会社乗っ取った敵でしょ。」


「金は動けば動くほど価値を持つんだ。だから商売に敵は居ないんだよ。俺が居ない間にゲイルークが稼いでいれば、俺が復活した時に大きい商売がやり易くなるんだよ。」


「ほんとにあんたは何時も何を考えてんのか解らないけど、楽しそうなんだから。」


「だって世界は楽しいもんだろ。」


そう言うとエヴァンスは笑ってモンパカ車の荷台に飛び乗り皆を手招きした。そして世界地図を広げてブラックに


「こないだ言ってた離れていても会話が出来る種族ってここか? 」


とゲンシュタット帝国北の島を指差して嬉しそうにしている。ブラックは頷いて皆はヨサークとゴサークに別れを告げてモンパカ車へ乗り込み、ゲンシュタット帝国北の島を目指した。エヴァンスの広げた世界地図にその島は『ストラディアアイランド』と記されておりアルスガルディア語での意味は『石の神の島』であった。



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