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自由の商人エヴァンス物語  作者: 橘 六六六
五章 三変人
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【77】大繁盛ガルボの宿屋




 エヴァンスはスパイダー達をとりあえずガルボの宿屋へと案内して宿泊の手続きを済ませると、一度自宅へと戻り身体を洗い着替えを済ませた。そしてドルトリアの町にある本屋へ向かうとスペーディーの持っていた『アルスガルディア変人偉人伝』と『アルスガルディア渡航譚』、そしてアルスガルディアの世界地図を探して購入した。


 それを自宅へと持ち帰りエヴァンスは世界地図をノートに写して、アルスガルディア変人偉人に載っている人物の位置に印を付け、そしてアルスガルディア渡航譚の海流を記した。そしてアルスガルディア渡航譚を読み更けた。そこにはツラユキがヒノモトを飛び出して世界を駆け回る姿が生き生きと描かれており、エヴァンスはアッと言う間に読み終わった。


 その時には既にエヴァンスは冒険に出掛けたくてウズウズとしていた。そしてエヴァンスはノートに書いた地図に行きたい場所や、会いたい人物に濃く印を付けるとノートをテーブルに置いてガルボの宿屋へと向かった。


 エヴァンスがガルボの宿屋へ着くと取り合えず、料理とビールを注文した。そしてビールを飲みながら周りを見ていると密かにロビーが広くなりテーブルも幾つか増えていた。それを見てエヴァンスは


(なんだかここも儲かってきたなぁ。)


と思いながらビールを飲んでいると、ワルキュリアとポポロとブラック、そしてライムとサファイアも到着するとスパイダーやスペーディー達もロビーへと集まった。そしていつものごとく宴会が始まりエヴァンスは大所帯になったモンパカ交易社のメンバーを見て


(そうか! ガルボの宿屋の全室がうちの従業員じゃないか! )


そう思い宿泊費等を頭で計算しながら、お酒を飲みながらどうでも良くなってきた。そうしているうちにエヴァンスのテーブルへ皆が集まり、お互いに何が有ったのかを報告しあった。そしてライムとサファイアが成長して二人でも十分に業務を行える事や、ワルキュリアの活躍でポンドゥロア公国を救った事、五酒豊祭でブラックが酔っ払った話しをして。エヴァンスやスペーディーは『アルスガルディア変人偉人伝』『アルスガルディア渡航譚』等の話しやフロイツの事を話した。


 夜も更けてくると子供のライムとサファイアに部屋へと戻る様に言うと、ライムは


「それじゃあ僕たちは温泉に入ってから寝ます。」


そう言うのでエヴァンスは驚いた声で


「温泉? 」


そう声に出すと、料理を運んで来たガルボの宿屋の一人娘エリナは


「そうよ。最近うちの宿屋は温泉を堀当てたのよ。」


とピースサインをして笑顔でそう言った。エヴァンスは呆れて訊ねた。


「お前うちより儲けてんじゃねえだろうな? 」


「そんな訳無いでしょ。全員あんたん所の従業員なんだから。」


「そ、そうか...... 。」


そんな会話をしていると奥から宿屋の主人であるガルボが酒を持って現れ


「おうエヴァンス久しぶりだな。今のお前にならエリナを嫁にやってもいいぞ。」


そう笑いながら酒樽をテーブルに置いて


「これは店からのサービスだ飲んでくれ。そういや、さっきツラユキって名前が出てたな。そいつなら昔うちに泊まった事が有るぞ。」


そのガルボの言葉にエヴァンスとダイヤンは反応した。そしてダイヤンは積年の思いから


「本当なの? どんな人だった? 」


「変な奴だったよな。髪の毛を頭のてっぺんで束ねていて。スカートみたいなひらひらしたズボンを履いていたよ。しかし良い奴だったよ。色んな国の事を知っていたし。」


ガルボはそう言うと、そのまま厨房の有る奥の部屋へと戻って行った。それからはエヴァンスとダイヤンで『アルスガルディア渡航譚』の話しに花が咲き、思ったよりも近くにその存在が有った為に喜んで酒を飲み続けた。



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