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自由の商人エヴァンス物語  作者: 橘 六六六
五章 三変人
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【71】エヴァンスの戦闘




 エヴァンスは光り輝く実を撫でてみたがツルツルとしていて何やら美味しそうに見えてきた。そのまま地面から光り輝く実を取り、匂いを嗅いでみたり舐めてみたりもした。その実からは今までに嗅いだことの無い芳醇な甘い香りがしていたのでとりあえず食べてみる事にした。


 皮は固いので落ちていた石で実を割ると、中からたっぷりと果汁が溢れて来たのでエヴァンスは慌てて口を運んだ。その果汁を飲むと、今までに食べた事の無いまろやかな甘さに思わず止まった。思わず割れた皮に付いていた実を食べると、トロリとした食感に流れる様な甘味が全身に拡がりふるふると震えた。


 そしてエヴァンスは雨の中にも拘わらず傘を落として輝き光る実に貪りついた。食べやすさや美味しさからも手が止まらずに大きな実を全て平らげてしまった。実を食べたエヴァンスは力がみなぎり雨の中で雄叫びを挙げていると、そこへ四人の一人クラビィが心配になり捜しに来ていた。そしてそのエヴァンスが持っている光り輝く実を見て


「わー。それって幻の果物『キングメロリア』ですね! 初めて見ましたよエヴァンスさん。」


そう言うとエヴァンスはクラビィへ


「まだたくさん有るからお前も食えよ。」


そう言って光り輝くキングメロリアを千切り投げた。クラビィはその皮をナイフで一口サイズ切って食べると「おほーーー! 」っと思わず声を挙げた。エヴァンスとクラビィは二人で大量にキングメロリアを取って仲間達の待つテントへと戻った。


 キングメロリアを大量に持ったエヴァンスとクラビィを見てスペーディー達は驚き、皆で食べるとその光り輝く実を途中のスイーク帝国バルビ領の町で売る事にした。しかしダイヤンの話しではキングメロリアはとても美味しく稀少な為に高く売れるのではあるが、その芳醇な甘い香りに魔物が引き寄せられて持ち帰るのは危険であるとの事であった。それでもエヴァンスは千載一遇のチャンスだと張り切っていた。


 スペーディー達はテントを片付け、馬車の準備をすると皆でキングメロリアを大量に収穫してバルビ領へと向かった。するとそこに、いかにも弱そうなスライム達が現れスペーディー達の馬車の行く手を阻んだ。そこで馬車を運転していたダイヤンが手を止めるとエヴァンスは隣りで


「ここは俺に任せな。強くはないがスライム程度なら問題ない。」


そう言ってダイヤンの横に置いていた鉄の剣を持つと助手席から飛び降りて剣を構えた。そしてエヴァンスはジリジリと距離を縮めてへろへろに斬りかかると、1匹のスライムが勢いよく顔面へ体当りをしてエヴァンスの顔面にめり込みゆっくりと膝から崩れ落ちた。


 あまりのエヴァンスの弱さにびっくりしたダイヤンだったが慌ててエヴァンスの下に駆け寄り、鉄の剣を拾うとアッと言う間にスライム達を倒すとエヴァンスを引き摺って荷台に乗せるとスペーディーへ


「エヴァンスさんがスライムにやられたから、スペーディーが助手席に来てくれよ。」


「スライムに? スライムなんて子供でも倒せるだろ。」


「うん。だけど顔面に体当りされてやられちゃったんだよ。」


「そ、そうか...... 。」


あまりのエヴァンスの弱さに呆気に取られながらも、スペーディー達はバルビ領へと馬車を走らせた。途中で幾度か魔物達に襲われはしたがスペーディーとダイヤンはなかなかの剣の腕前で、その上ハートゥとクラビィも魔法をそこそこ使えたのでエヴァンスは気絶したままバルビ領へと到着した。


 バルビ領へ到着するとクラビィはポーションを購入してエヴァンスの口へと注いだ。するとエヴァンスは気が付き、バルビ領の町を見渡し


「あれ? スライムは? 」


「スライムは退治してバルビ領へと到着しましたよ。」


「そっか。着いたのか。」


とスライムにやられた事も大して気にもせずに、町並みを見ながら商売の事を考えていた。




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