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自由の商人エヴァンス物語  作者: 橘 六六六
五章 三変人
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【70】三変人を追え




 赤い癖っ毛の男スペーディーはパンを噛りながら


「エヴァンスさんは裸一貫で商売を始めた。って書いてたけどさ。今日も裸だったよね? 」


「あの日な。いきなり盗賊に身ぐるみ剥がされて全裸の一文無しから始まったんだよ。マジで。」


「あれ本当だったんですか!? 」


「ああ本当だよ。」


そんな感じでエヴァンスの昔話を皆真剣な顔で聞いていた。そして時折笑い話も交えながら話しが進み、エヴァンスはフロイツの書いたアルスガルディア変人偉人伝に興味が移った。


「なあスペーディー。お前達の言ってたスパイダー=ジョナサンってどんな奴なんだ? 」


「スパイダー=ジョナサンってのは別の世界から来たって言い張る変な人なんだ。なんでも世界を繋げる事が出来る! って大ぼらを吐いてるって言う人なんだ。」


「世界を繋げる...... 」


実はその言葉にもその名前にもエヴァンスは心当りがあった。エヴァンスがこの世界へ転生する前の世界で『ゼットフォン』と言うスマートフォンを創り出した人物だ。エヴァンスはそんな事もあり、スペーディーから本を受け取り目を通した。その中の変人編に『三変人』と言われる人物の事が書かれていた。その中にスパイダー=ジョナサンの名前があった。


 エヴァンスはそのスパイダー=ジョナサンに対する記述を読めば読むほど本人である確信に近付いた。そしてチーズを噛りスープで流し込むと四人に言った。


「なあ、お前達『三変人』を捜しているとも言ったな。俺もこの三変人に興味が湧いてんだ。一緒に探さねえか? 」


エヴァンスのその言葉に目を輝かせながら激しく頷き合意した。それを見てエヴァンスは


「お前達の中で移動魔法使える奴は居るか? 」


そう続けて訊ねると四人は揃って首を横に振り、エヴァンスは溜め息を吐いて


「まーた無一文か。まあしょーがねぇか。」


そう言うと仰向けに転がってそのまま眠りに着いた。クラビィはそんなエヴァンスへ毛布を掛けて四人は今度はエヴァンスと出会えた事、そしてエヴァンスと供に旅が出来る事を喜び興奮して話し合っていた。



▽▲▽▲



 木の葉から滴る朝露を顔に受けて目を覚ましたエヴァンスは湖へと歩いて行った。顔を洗うつもりで湖へと向かっていたが、途中で雨が降りだしてまたテントへと戻った。タープを広げた下で焚き火を起こして濡れた身体を乾かしていると四人は起きてきて一緒に焚き火に当たり出した。エヴァンスはスペーディーに訊ねた。


「所でここは何処なんだ? 」


「ここは北の大陸の南端カボジカ王国です。そしてエヴァンスさんが気にしているスパイダー=ジョナサンの居る所は西のスイーク帝国です。」


「そこは遠いのか? 」


「ここからスイーク帝国に入りバルビ領を抜けてマィティー領ですから、馬車で5日は掛かりますね。」


「そうかー。(ポポロとの移動に慣れ過ぎたな。)」


エヴァンスはそう言うと暫く考えた。無一文な上に移動では時間が掛かる。そしてスパイダーと会う前に少しは貯えを用意しておきたい。しかし売る物も持っていない。しかも自分の全く知らない異国である。どれをとっても最悪な状況ではあるが悩んでも仕方無いと思いながら周りを見渡していた。


 エヴァンスはダイヤンに大きい袋を貰い、湖の周りを歩いてみる事にして大きな葉っぱを傘代りにして湖へと向かった。雨で薄暗く視界も足取りも悪い為にエヴァンスはどんどん憂鬱な気持ちになってきていた。しかし持ち前の適当な性格でそれでもウロウロしていると木に生る実を見付けて噛ってみたがあまり美味しくなくて吐き出した。それでも歩き続けると不思議な光りを見付けてエヴァンスはそっちの方へと歩き続けた。するとそこには光り輝くサッカーボール程の実が地面に大量に成っていた。









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