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自由の商人エヴァンス物語  作者: 橘 六六六
四章 五酒豊祭
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【68】エヴァンスと従業員




▽▲▽▲



「ギャーーー! 何で裸で抱き付いてくるのよ! イヤーーー! 」


「うるせー! お前が急に逃げるからだろ! 嫌なら降りろよ! 」


「キャーー! 喋ったー! 」


「お前が話し掛けたんだろ! 」


そんなやり取りを空の上でしていると、マリアンは体にしがみつくエヴァンス腕をめっちゃ強い力でつねった。エヴァンスはそれに悲鳴を上げ


「お前こんな所で落としたら死んじゃうだろ! 」


「あんたなんて死になさいよ! 変態! 」


そう言うとマリアンは思いっきりエヴァンスを蹴り落とした。エヴァンスはそれに手を離してしまい


「お前ふざけんな! 化けて出てやるからな! 」


そう叫びながら落下して徐々に小さくなり消えていった。落下していくエヴァンスを見たマリアンはホッとしながら北の大陸へと飛んで行った。


 エヴァンスは勢いを保ったまま落下し続け、どんどん近付いてくる地面に死を感じた。すると運良くエヴァンスが落下している位置が大きな湖であったために地面に叩き付けられる事は無かった。しかしその衝撃は激しく物凄い水柱を立ててエヴァンスは気を失って湖の底へと沈んでしまった。



▽▲▽▲



 エヴァンスの居なくなり慌てて戻ったブラックであったが、モンパカ交易社の従業員達は再開された五酒豊祭の中でも急な惨状に気分も乗らず、露店で買った食料と酒を宿屋に持ち込んで食事を取っていた。ブラックは息を切らしてエヴァンスの服をテーブルに置くと


「エヴァンスさんが裸のままマリアンとか言う商人と供に消えてっちゃったんだ! 」


「あら? 駈け落ちかしら。」


ポポロがそう呑気に答えると、サファイアとライムは


「お姉ちゃん駈け落ちってなに? 」


「駈け落ちって言ったら、男の人と女の人が一緒に逃げちゃう事よ。」


またもそう呑気に話している。ブラックはそんな緊張感の無いメンバーに気付かせる為に


「違うよ。マリアンって奴がゾンビ兵とかドラゴンライダー達を呼んだから、おいら達で迎え撃ったんだ。そしたらマリアンって奴が魔法を使ってエヴァンスも消えちまったんだ。服を残して! やっぱりおいらは雑草よりもダメな人間だ。」


と大きい声で話すがポポロは全然慌てずに、酒を飲みながら


「いつもの事よ。エヴァンスは大事な時にはいつも裸になって消えちゃうのよ。そのうち戻って来るからあんたもこのリキュールってお酒飲みなさいよ。ワタシ達はこの五酒豊祭を楽しんで終わったらお仕事をすればいいだけよ。」


「いつも? なんですかい? 」


「そう。いつもよ。だから気にしなくて良いわよ。」


そう言ってポポロはブラックへグラスを渡してオレンジのリキュールを注いで乾杯をした。そこへ紅い鎧兜に身を包んだワルキュリアが現れ


「ポポロさんローバインさん。私はこれからリシュタイン様、ビアダル様、ロブロイ様との連合で領地を取り戻しに向かいますが、皆さんは引き続き五酒豊祭を楽しんでいてください。所でエヴァンス様はどちらへ? 」


「エヴァンスなら、また裸で消えたんですって。」


「はぁ、またですか。仕方無い人ですね。それでは私は行ってきますので。」


「本当に仕方無い奴よね。気を付けて行ってらっしゃーい。」


そう挨拶をして宿屋を後にした。そのポポロとワルキュリアの会話を聞いてブラックは、本当にエヴァンスが裸で消えるのはいつもの事なのだと納得してグラスの酒を飲みだした。ライムとサファイアもよく事情が解らなかったが、ポポロが落ち着いている姿を見て料理を食べながら二人で楽しんでいる。そしてポポロもその姿を見て微笑んでいた。ローバインの家族やイノーグ、ネズト、ウシルの家族も宿屋での食事でも日頃と違う光景に楽しみながら食事を続けた。


 ブラックも最初のうちは、まだエヴァンスの事を心配してはいたが酒を2杯、3杯と飲む内に段々と気持ちよくなり、そのうちエヴァンスの事など忘れて眠りに着いた。






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