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自由の商人エヴァンス物語  作者: 橘 六六六
四章 五酒豊祭
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【67】召喚石




 エヴァンスはブラックの首に腕を回してニヤリと笑い


「なっ、気持ちいいだろ? 全身に風を受けるのは? くよくよしたってしょうがないんだよ。」


そう言うと、ブラックは頷いた。そう言っている内にミャーユメはアッと言う間にジントリアを囲んで居た軍勢を全て倒してしまった。そしてミャーユメは顔を洗いながら


「はぁー。遊んだ、遊んだ。それじゃあ吾輩は戻るでごじゃる。」


そう言うと消えて行き、ブラックとエヴァンスは裸で町の外へと置いていかれた。するとそこへマリアン=ロジャースが現れ


「猫の王とはなかなかやるわね。ふっ。だけど各領地の人間がジントリアへ集まる...... って、キャーー! 何であんた達は全裸なのよ! なんで戦闘の最中で全裸になるの? 」


そう慌てるマリアンにエヴァンスはなに食わぬ顔をして


「風があるからさ。」


そう言って腕組みをして仁王立ちをしている。女性のマリアンを前に恥ずかしそうにしていたブラックであったが、余りにも堂々としているエヴァンスを見てちょっとだけ堂々と構えて見せた。マリアンはそんなエヴァンスに気持ちを押され気味ではあったが我に返り


「全裸だからって勝ち誇るなよ! お前達は私の戦略に負けてポンドゥロア公国の殆どの領地を奪われているんだからな! 」


「お前こそ何を奪ったぐらいで勝ち誇ってんだよ。」


「奪ったぐらいでって何よ。奪われたのよ! 」


「解ってるよ。奪ったんだろ? 別によくある事だろ。」


「なんて緊張感の無い男なのかしら。苛々するわ。」


エヴァンスはそんなマリアンの言う事など気にもせずにブラックへ


「ブラック。ちょっとまた何か召喚してくれよ。」


「了解ですよー。」


そう言ってブラックは杖を構えると、地面に魔法陣を出し召喚獣を呼び出した。すると魔法陣は巨大に拡がり、また先程の猫の王ミャーユメが現れたが寝ている。そしてミャーユメは眠たそうにアクビをしながら


「吾輩は寝るのでごじゃる。」


そう言うとまた魔法陣へ消えて行った。草むらに全裸のエヴァンスとブラックはただ呆然と立ち尽くし、それを見たマリアンは爆笑しながら


「キャハッ。召喚失敗なんて馬鹿みたい。召喚何て今では商人にだって出来るのよ。お金の力を見てみなさい。」


そう言ってコートのポケットから大量の水晶に似た紫色の魔石を取り出して空中へと放り投げた。するとその魔石は砕けて目映い光を放ち、魔法陣が大量に現れ魔物達が続々と出現した。ゾンビ兵に、ドラゴンライダーがエヴァンスとブラックを取り囲みマリアンは


「これは召喚石と言って、今北の大陸で流行っているのよ。知った所で彼方達の命はここでおしまいだけどね。」


そう言って唇に手を当てて投げキッスをエヴァンス達へと飛ばした。ブラックはこの状況からもう一度杖を振り召喚を試み魔法陣を作り出した。


 しかし酒が回っているブラックはやはり魔力のコントロールが上手くいかずにそこらじゅうに魔法陣が発生し、そこからイノシシの大群が現れマリアンの召喚したゾンビ兵やドラゴンライダー達を一掃した。


 その状況にマリアンは口惜しい顔をした後で気を取り直して


「ふっ。それでも私は負けていないわ。エヴァンス。貴方の事は覚えておくわ。」


そう言ってコートから水色の魔石を取り出して地面に叩きつけるとマリアンの体が宙に浮き始めた。エヴァンスはそんなマリアンを逃がすまいと走って飛び付くと、マリアンは裸の男が抱き付いて来たことに悲鳴を上げながら魔石の力で遠くへと飛んで行った。


 ブラックはマリアンが飛び立つ風で目を閉じて暫く経ち目を開けると、そこにはもう誰も居なくなっていた。そしてマリアンと共にエヴァンスも居なくなっている事に気付いたブラックは慌てて服を着て仲間達にその事を伝えに走って戻った。




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