【66】猫の王
リシュタインとワルキュリアがジントリア城へと走り出すと、エヴァンスは立ち上り酒に酔ってヘロヘロに為りながらブラックに言った。
「よし! ブラック! 俺達もポンドゥロアの応援するぞ! おい、アレ出せ! アレ! 何かおっきいの! 」
「アレってなんですかい?エヴァンスさん。おっきい? 」
「そうだよ! おっきいアレを! 」
「何か解んないですけど、出しますよーおっきいアレを! 」
この時に、ブラックも大分酒を飲んでおり酔っていて訳が解らなくなっていた。そんなブラックは杖を構えて
「おいらのおっきいアレよ出て来い! 」
するとジントリア中に魔法陣が現れ空中に体長300メートル程は有ろうかと言う巨大な猫が現れた。猫は爪でドラゴンライダー達を遠く弾き飛ばすと空中で一回転して誰も居なくなった広場へと着地した。酔っているエヴァンスは巨大な猫に興奮してブラックの肩をバンバン叩いて。
「でっけえ猫だな。マジで最高だよ! 」
と大喜びして笑っていた。すると猫はブラックとエヴァンスへ大きな顔を近付けて
「吾輩は猫の王ミャーユメでごじゃる。吾輩を呼び出したのは貴様等でごじゃるか? 」
そう訊ねるのでエヴァンスは
「ああそうだよ。だから背中に乗せろよ!」
そう言って屋台に有った魚を大量に掴んでミャーユメへと投げた。するとミャーユメは魚をペロリと食べ、エヴァンスとブラックを前足で掬い頭の上へ乗せて
「これで良いでごじゃるか? 」
と良いブラックとエヴァンスは頭の毛の中でモフモフしながら
「最高ですね。エヴァンスさん。」
「最高だよ。」
と話していると、無数のドラゴンライダーが激しい炎をミャーユメに吐き付けてきた。ミャーユメは大きくアクビをすると激しい炎はドラゴンライダーの方へと戻り数体のドラゴンライダーが焼け落ちた。ミャーユメは地面に落ちたドラゴンライダーを食べると今度は口から巨大な炎を吐き出し燃やし落とした。
そしてミャーユメは落ちたドラゴンライダーに塩を振り掛けるとアッと言う間に全て食べてしまった。ミャーユメはゲフッとゲップをすると
「まだ食い足りないのでごじゃる。」
そう言うと、エヴァンスは城の周りを見渡すとジントリアの町は謎の北の大陸とやらの軍勢に囲まれていた。それにポンドゥロア公国の公爵達や兵士達が応戦している。そしてエヴァンスは町の外に応戦するブルームーンを見付けるとミャーユメへ
「おい。猫の王よい。あっちの外で囲んで居る奴等なら食べて良いぞ。」
そう言うと、懐からウィスキー瓶を取り出してグビッと飲んだ。ミャーユメはピョンとひとっ飛びで町の外へ出ると前足で軍勢を一払いで吹き飛ばし
「人間は美味しくないから食べないのでごじゃる。」
「じゃあさっき城の周りに居たのは魔獣だったのか? 」
「そうでごじゃるよ。」
「また魔属と人間の共同戦線か。」
そうエヴァンスと話すとミャーユメは前足を舐めながらアクビをしている。そしてエヴァンスはブルームーンを見つけて
「おーい! ブルー聴こえるか? ここは俺達が引き受けるからお前は王として五酒豊祭を続けろよ。」
「なんじゃ。お主は猫の王を召喚出来るのか? 」
「うちのブラックって社員がな。」
そう言うとエヴァンスは服を全部脱いでミャーユメへ
「それじゃあ猫の王よ、町の周りを1周して蹴散らしちゃってよ。食べたいのは食べても良いから。」
そう言った。ブラックはそんなエヴァンスを見て
「エヴァンスさん何で服を脱ぐんですか? 」
「ああ? 全身で風を受けると気持ち良いぞ。お前も脱げよ。」
そう言ってエヴァンスはブラックの服を無理矢理脱がせて二人で全裸になると、ブラックは滅茶苦茶恥ずかしそうにしていた。そんな事も気にせずにミャーユメはジントリアの町の周りを走り出し、最初は恥ずかしがっていたブラックすらもその早さと風を全身に受けると気持ち良さそうな顔をしていた。




