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自由の商人エヴァンス物語  作者: 橘 六六六
四章 五酒豊祭
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【65】興を削ぐ緊急




 ブルームーンがリシュタインの顔を見ているとリシュタインは


「以前のウォルスカ領の酒、ウォッカへ果汁を加えて新しい味としたリキュールです。」


と頭を下げた。ブルームーンは杖を掲げ


「少ない時間の中に新しい酒を造り上げたリシュタインよ。見事である。それではこれよりポンドゥロア公国、五酒豊祭を行う! 」


そう大きな声で宣言すると公爵達が拍手を送り、それに合わせて民衆達も拍手をするとポンドゥロア公国、五酒豊祭が始まり花火が打ち上がった。


 エヴァンスはブラックを連れて先ずはエールリル領のビールを置いたテントへ足早に行くとビールを貰い、ブラックと乾杯をして飲み始めた。そして二人で各テントを周り、酒を飲み続けるとテーブルを置いたテントへと座り二人で飲み続けた。エヴァンスはブラックへ銀貨を数枚渡して


「ちょっと酒のツマミを買ってきてくれよ。」


と言ってブラックは露店が並ぶ通りへとお使いに出掛けた。するとそこへワルキュリアとリシュタインが酒を持って現れ、エヴァンスの座る席へと座った。ワルキュリアはエヴァンスへ


「エヴァンス様、私はリシュタインとも話したのですが、リシュタインもまだまだ公爵として忙しい身ですし、私はまだエヴァンス様の下で働きたいです。」


そう言うと、隣でリシュタインはワルキュリアの手を握りながら


「私もワルキュリアの意見に賛成しておりますので、お願いできますか? 」


そうエヴァンスへお願いした。エヴァンスは酒を飲みながら二人へ


「俺はまだワルキュリアに働いて貰いたいって気持ちも有るし、二人に幸せになって貰いたいって気持ちもあるから二人で決めたんなら良いぜ。ただワルキュリア。1週間に2日は休みをやるから休日はリシュタインの所に居ろよ。」


そう言って笑っていた。そうしていると、ブラックは大量のツマミを買ってきてテーブルに広げて四人で更に酒を飲み始めた。新人のブラックの紹介やワルキュリアとリシュタインの最近の話しを聞いて談笑していると。四人の前に一人の女が現れた。


 その女は先程エヴァンスの前に現れた、眼帯をした黒いロングコートのマリアン=ロジャースであった。そしてマリアンはニヤニヤしながらエヴァンス達の居るテーブル席へ座りエヴァンスへ話し掛けた。


「あらエヴァンスさん。2回目ね。私マリアン=ロジャースよ。覚えててくれたかしら? 」


「何の用だよ? 飲みたいなら飲みな。それ以外は知らねーぞ。」


そう言ってエヴァンスはマリアンを適当にあしらい、それを隣でワルキュリアは気を許さず見ていた。マリアンはエヴァンスのグラスを取り上げ飲み干すと


「本当の宴はこれからよ。私達、南の大陸を手に入れる為に、この島国が欲しいの。」


そう言うと「ドーン。ドドド、ドーン。」と爆発音が複数鳴り、周囲の人々は花火かと思い空を見上げた。すると同時に沢山の悲鳴が挙がり、リシュタインとワルキュリアは立ち上がった。エヴァンスがボーッと空を見ると、そこには無数のドラゴンライダーがジントリア城を爆撃し始めた。ドラゴンライダーはレッドドラゴンの背に乗り炎でジントリア城を焼いている。


 楽しさに満ちた五酒豊祭は忽ち恐怖の事態へと為り、ポンドゥロア国民達はパニックに陥り逃げ惑っている。


 エヴァンスはそれを見て笑うマリアンの襟首を掴み


「お前、この楽しい祭りの興を削いでくれやがって。ふざけんな! 」


そう怒鳴ると、マリアンは更に笑いながら


「楽しいお祭りで死ねるなんて幸せね。それじゃあ私は消えるわ。」


そう言って魔法石を割ると姿を消した。この現状にリシュタインは腰に帯びた二本の剣を取るとジントリア城へと走り出した。ワルキュリアもドレスのスカートの裾を破るとリシュタインに続いてジントリア城へと向かった。





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