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自由の商人エヴァンス物語  作者: 橘 六六六
一章 新しいエヴァンス
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【2】フロイツの失脚




 ドルトリア城へと向かう馬車の荷台でルナフレアは無表情なまま


(殿方の裸ってあんなになっているの? 何あの真ん中の尻尾みたいなの? しかもプロポーズされちゃった。この胸の熱い気持ちは何なの? )


と心の中は乱れ切っている。休戦和平協議の事へと気持ちを切り替えてはみたが。全裸のエヴァンスが忘れられずにいた。



 エヴァンスは衛兵の追尾を上手く逃げ切り、アリバイを作る為にガルボの宿屋へモンパカ(アルファード)を綱に繋げて、覆面を外してトイレからなに食わぬ顔で戻り。テーブル席へと座ると相変わらずローバインは真っ直ぐに座ってブランデーを飲んでいた。


 すると、大通りへ出ていたワルキュリアとポポロも戻り。先程のルナフレア=ゲンシュタットを襲った裸の変態について二人で話しながら席へと着いて二人とローバインは、エヴァンスの事をジッと見ている。エヴァンスはさっきの犯人が自分だとバレたのか? と思いながらも平然を装い


「お前等ももっと飲めよ。」


そう言って、グラスのブランデーを飲み干すと。ワルキュリアは恥ずかしそうに


「所でエヴァンス様は何で全裸でお酒を飲んでいるのですか...... ? 」


と訊ねた。エヴァンスは自分の体を見て


(しまったー! 服を着るの忘れてたー! これは何とか誤魔化すしかねーぞ! )


そう心の中で大慌てして叫びながらも、然も当然の様に堂々とした姿で


「何を言ってるんだワルキュリア。俺はさっきトイレに行ったんだ。服を全部脱ぐのは当然だろ。」


と言って見せた瞬間。エリナはフライパンでエヴァンスの頭を叩き


「バカな事を言ってないで早く服を着なさいよ! 」


そう服を投げ付けた。エヴァンスが頭を押さえながら服を着ているとローバインはメガネを人差し指で持ち上げながら


「所でエヴァンスさんは、今後の商売の計画はお有りですか? 」


と急に真面目な話しをぶっ込んで来た。エヴァンスは全く考えて居なかったので、少し挙動不審になりながら


「あっ...... そりゃあ有るさとんでもない計画がさ。あれだ。ゲンシュタット帝国で商売してやって、我がドルトリア王国へ外貨を稼いでやろうじゃないか! 」


適当に大きな事を言ってみせた。ローバインは驚いた顔で


「ゲンシュタット帝国は他国出身者に対して営業許可は厳しいのに、それに挑み商売を行おうだなんて正気では有りませんよ。」


そう言った。エヴァンスは何故か調子に乗りテーブルに登り、空を指差して


「困難を現実に変えてこそ、男の矜持ってもんでしょうが! 」


そう叫び、銀貨1枚をエリナに指で弾いて投げると笑いながらガルボの宿屋を出て行った。とりあえずローバイン達もエヴァンスの後を追うと、エヴァンスは大通りに向かう角の所で吐いていた。そして口を拭うと歩き出してそのまま大通りで倒れて寝てしまった。ローバイン達は呆れながらエヴァンスを家へと運んであげた。



 エヴァンスがベッドで目を覚ますと、ローバイン、ワルキュリア、ポポロの3人が家の中を片付けてくれていた。そしてテーブルの上の新聞を取り見ていると驚きの余り


「えーっ! 」


っと声を上げた。何とドルトリア王国一の豪商フロイツがフロイツ商会を乗っ取られ失脚していたのだ。乗っ取ったのは書士官のトリシュ=ゲンドルシュと言う女性であり、フロイツ商会はゲンドルシュ商会と名を変えていた。


 エヴァンスは新聞を投げ捨てて、フロイツの自宅へと走った。フロイツの自宅はドルトリア城近くでガルボの宿屋の近くに在り、エヴァンスの家から歩いて10分程の距離であった。エヴァンスがフロイツの家へ辿り着くと、そこは既にもぬけの殻であったのでエヴァンスはそのまま歩いて家へと戻った。


 家へ戻ると片付けられた部屋で、ローバイン、ワルキュリア、ポポロは宴会をこの場で始めており、エヴァンスも一緒に飲み始めた。





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