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自由の商人エヴァンス物語  作者: 橘 六六六
四章 五酒豊祭
67/109

【62】モンパカ交易社出発




◻️◼️◻️◼️



 ドルトリア王国の端に在るドラゴニアの丘、そこにモンパカ交易社の牧場が建てられている。そしてそこにエヴァンス達の戦艦の停留所が在り、エヴァンス率いるモンパカ交易社の従業員は集合していた。


 ポンドゥロア公国からの招待とあり、皆日頃から着なれぬ衣装を身に纏い、同行する家族も興奮してはしゃいでいる。


 エヴァンスも珍しくタキシードを着てシルクハットを被り、いつもの青いマフラーを巻いている。そしてモンパカ交易社の従業員達の前に立ちポポロへ指示を出して皆で戦艦へと乗り込んだ。甲板へ立った従業員達は戦艦の雄大さに感嘆としているとエヴァンスは右手を挙げて


「さあみんな! ポンドゥロア公国へ行くぞー! 」


と号令を出すと皆で声を挙げ、モンパカ達も


「プニープニー! 」


と鳴きながら、モンパカ交易社はポンドゥロア公国へと出発した。甲板の上では従業員達や、その家族は空を飛ぶ戦艦に喜んだり、脅えたりと様々な姿を見せながら船室でくつろいだり、外を眺めたりと各々の時間を過ごした。


 そしてエヴァンスはバスキリアで商品を降ろし、直ぐに戻るとポンドゥロア公国ジントリア領へと辿り着いた。ジントリアの町の横へ戦艦を着陸させると従業員達と家族を降ろして、最後にエヴァンスが降りた。今回の旅が初めての外国である従業員達は造りの違う建物や、城の形の大きさ等をドルトリア王国のものと比べながらは興奮して話している。エヴァンスはその光景を見て笑いながら宿泊先の宿へと案内した。


 そしてジントリア領の城下町では既にワルキュリアが待っていた。ワルキュリアも正装のドレスを纏い、とても戦場で無敵を誇る滅獄のワルキュリアとは思えない洗練された貴婦人の様に美しかった。しかし変わっているのは見た目だけでエヴァンスとポポロを見たワルキュリアは久しぶりの再会に無邪気に手を振りはしゃいでいた。


 エヴァンスははしゃぐ従業員達を見ながら、ふと気になる事が有った。ポンドゥロア大戦におけるウォルスカ領の背後に居た筈の『闇商人』の存在だ。ウォルスカの状況が悪くなると見るや姿を消し、あの日ウォルスカ城には既に姿は無かった。魔王軍とスクリュー=ウォルスカを接触させた人脈と言い気になる事はたくさん有った。


 しかしよくよく考えると『闇商人』なんてものは噂ばかりで一度もエヴァンスは会った事が無い。裳しかすると闇商人なんてものは本当は居ないのかもしれない。エヴァンスは結局、答えが出ないのであまりその事は考えない事にした。従業員達を宿へ案内するとエヴァンスは従業員達とその家族の事をローバインに任せてブルームーンの所へ挨拶へと向かった。


 ブルームーンの居るジントリア城へはワルキュリアとポポロ、そしてライムとサファイアを同行した。エヴァンスはポポロへ


「ポポロは別に宿で待ってても良かったんだぞ? 」


「ライムちゃんとサファイアちゃんはワタシの部下なのよ。だからワタシが付いていないとダメでしょ。」


「お前、もしかして妹がほしかったのか? 」


「そ、そんな事は無いわよ。」


エヴァンスの言葉にポポロは顔を赤くして慌てた。エヴァンスはそんなポポロを見てこんな顔もするのだと感心した。するとライムとサファイアはポポロの両腕にしがみついて


「ボクはお姉さん欲しかったから嬉しいよ。」


「わ、わ、わたしもポポロさんみたいなお姉さんが欲しかったです。」


そう笑顔をポポロへ向けると照れ臭そうに二人へ笑顔を向けて


「あ、あんた達は可愛いから、そんな妹なら居ても良いかしら。」


そう言ってジントリア城へと向かった。ワルキュリアはそんなポポロを見て、初めて人を好きになった気持ちと照らし合わせて微笑んだ。エヴァンスはそんな事も気にせずに一行を連れて口笛を吹いて歩いていた。




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