【61】モンパカ合流
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モンパカ交易社の懇親会も終わり、エヴァンスとポポロは新入社員のブラックを連れて戦艦に乗りベイル高原へと向かった。始めての空飛ぶ戦艦にブラックは震えながら感動していたが、エヴァンスは若干慣れてきて船内へと入っていた。
そして風の民の集落へと辿り着くと、風の民達が初めて目にした巨大な空飛ぶ戦艦に震えながら驚いていた。遠くから見ても判る戦艦にライムとサファイアはすぐに駆け付け風の民達と共に手を振った。そして集落を避けて着陸するとライムとサファイアの前へモンパカ車で降りた。
戦艦見たさに風の民は大人から子供までが集まり、その雄大さとポポロの魔力を誉め称えたので少しだけポポロは自慢気な顔をした。そしてポポロにリアンとココロが近付いて、先日のライムとサファイアの活躍を話すとエヴァンスはライムとサファイアの頭をワシワシと撫でた。するとライムとサファイアは褒められた事に笑顔で喜んだ。
そしてエヴァンスはリアンとサファイアや風の民達へ
「うちのライムとサファイアが、この度は大変お世話になりました。」
そう大きな声で挨拶をすると、モンパカ車の荷台から酒樽と食料を大量に降ろして風の民達へと渡すと風の民達は頭を下げた。そしてライムとサファイアをモンパカの柵へと連れて行き、6頭選ばせるとエヴァンス達の前へと差し出した。6頭のモンパカ達はポポロのモンパカ、アルファードとベルファイアと早速じゃれあっていた。エヴァンスはモンパカを受け取ると、リアンとココロへ
「このモンパカ達はうちで大切に育てるよ。なあ、ライム、サファイア。」
そう言うとライムとサファイアは声を揃えて
「『はい! 大切にします! 』」
と大きく風の民達へ言うと、風の民達はライムとサファイアの下に集まり風の神の祈りを捧げると優しい緑色の光りが二人を包み祝福を受けると風の民達はライムとサファイアに次々と握手を交わした。
そしてライムとサファイアは風の民へ別れを告げてエヴァンス達と戦艦乗り込んだ。甲板から手を振りエヴァンス達はドルトリア王国へと戻って行った。帰りの戦艦の上でブラックは
「おいらぁ、世界中を旅して回ったがこんな馬鹿げた奴等は初めてだ。」
そう呟くと、エヴァンスはそれを聞き逃さず
「なんだブラック。お前世界中を旅したのか? 是非聞かせてくれよ。お前の見て来た世界を。」
そう言ってニヤリと笑った。そして道中、エヴァンスとブラックの二人は見て来た世界に付いて話しをして、エヴァンスはその中の『遠声の石』に凄く興味を抱いていた。
ブラックの言う『遠声の石』とはゲンシュタットより北の島で採れる石で、そこの島民はその石に魔力を込めて離れた位置でも会話が出来ると言う話しであった。エヴァンスはその事をメモに取りポケットへと仕舞った。
そんな中、公国ライムとサファイアはやはり、この戦艦を飛ばせるポポロの魔力に興味を持ちポポロの傍から離れずに絶えず何かを訊ね、ポポロもまたその事に嬉しそうに答えていた。
そしてポポロはドラゴニアの丘へと戦艦を着陸させると皆で牧場へと降りた。ライムとサファイアはモンパカ達の手綱を引いて牧場の中へと誘導すると、牧場の主任となったイノーグが出迎えモンパカ達を柵の中へと移動させた。モンパカ達は柵の中の草原を短い脚でトコトコと駆けながら楽しそうにしている。
エヴァンスはそこでモンパカ達の楽し気な姿を見て頬笑むと、ライムとサファイアへ
「ライム、サファイア。お前達は二人でコンビを組んで輸送をやって貰うから、移動用のモンパカちゃんを二頭選んで。」
そう言って、次にイノーグ、ネズト、ウシルの3人に
「明後日から、お前達も本ポンドゥロア王国の『五酒豊祭』に連れて行くから2~3日分空けても大丈夫な様に準備しておいてくれ。」
そう言ってエヴァンス達のモンパカ拡充は無事終わり、モンパカ交易社は徐々に大きく成っていった。




