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自由の商人エヴァンス物語  作者: 橘 六六六
三章、モンパカ交易社拡充
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【56】招かれざる客サティーナ教徒




 風の民達の食事が終わると皆各々のコテージへと戻りライムとサファイアはリアンとココロのコテージへと入ると部屋を案内されて二人は眠りについた。


 穏やかに過ぎたように見えた一日であったが、その影で穏やかで無い者も近付いてきていた。それにいち早く気付いたのはリアンの飼っている2匹の犬達であった。


 2匹の犬達は明らかにベイル高原では嗅いだことの無い血の重なる臭いに苛立ちと不安を同時に感じ取った。そして、その者達が自分達では歯が立たない事も覚り、大きく雄叫びを挙げて風の民へと報せた。リアンとココロは静かに物音を立てずにコテージの外へ出ると、既に異変に気付いた村の大人達が表に出ている。その中で若い男が息を撒いて闇を見詰めているが、大人達は


「お前は子供達を連れて隠れなさい。風の神の教えを繋ぐ事がお前の使命だ。」


そう言って大人達はモンパカの柵の在る草原へと出向いた。するとそこでは暗闇の中に無数の影が潜んでいた。その影達は松明に火を灯すと中央に真っ黒な法衣に身を包んだ目付きの悪い男が中央に立ち


「邪教を信仰する害虫供よ。我が神、サティーナ様の教えに従い貴様等を浄化してやる。」


そう言ってけたたましく平穏を切り裂く様に笑い始め、すると同時に黒ずくめの男達は手から鋭い刃の様な氷を放った。風の民達は風の魔法『風障壁(ウィンドウウォール)』で対応し、氷の刃を打ち落とした。


 すると中央に立つ男は更に不気味な声で


「イーヤーヒャッヒヤッヒヤッ!!! 」


と大笑いして。手に氷の花の様な魔力を高めながら


「我々は氷炎のサティーナ様の祝福を受けたサティーナ教徒。そしてサティーナ教宣教師であるこのサロメチア様が害虫の貴様等に止められる筈も無い。」


そう笑って、周りの草へと魔法放った。するとその魔法は氷にも拘わらずに炎の様に拡がり揺れて触れる物を徐々に粉々に砕いて行った。風の民達は風魔法で草を切り飛ばすが、氷炎は拡がり砕いて行くばかりであった。リアンはココロへ


「ここは私達が食い止める。君はコテージに戻り、若者や子供達を連れて逃げろ。」


そう笑って言うと、ココロは涙を流しながら頷いてコテージへと走った。しかし、それを見逃す筈も無くサロメチアは氷炎の矢を放ち行く手を阻んだ。この氷炎魔法は風の民との相性は悪く、風の民は風の刃を放つが全く状況は好転せずに時間だけが過ぎていた。


 その時コテージから目を覚ましたライムとサファイアが現れ、攻撃を受ける風の民を見てサティーナ教徒が悪者だとライムは判断し


「あんた達! リアンさんやココロさんに何をやってんだ! 」


そう言って炎魔法で氷炎の一部を焼き消した。その隙にココロは氷炎の中から逃げ出してコテージへと向かった。しかし、氷炎はメラメラパキパキと音を立てて凍てつき拡がる。その戦いにより柵の中のモンパカが怯えている姿を見たサファイアは拳を強く握り


「モンパカちゃん達が怯えてじゃないの! おじさん達嫌い! 嫌い! 嫌い! 嫌い! 」


そう叫び体から魔力を解き放った。そして宙に風の魔法で浮いた。ライムはそんなサファイアの姿を見ると慌てて炎魔法で風の民達を囲む氷炎を全て消して


「サファイアがめっちゃ怒ってるから、おじさん達も直ぐに逃げて! 本当に危ないから! 」


一瞬何が起こったか解らない風の民であったが、サファイアから溢れる魔力を見ると危険を感じて急いでコテージの方へと逃げた。サティーナ教徒の者達はそれでも笑いながら


「イーヤーヒャッヒヤッヒヤッ。どんなに怒っても風魔法では氷炎魔法には勝てませんよ。」


そう言うと、サファイアは瞬時にサティーナ教徒の黒ずくめの男の傍に飛んで、強烈な風魔法を加えたボディブローでベイル高原の彼方へとサティーナ教徒の一人を吹き飛ばした。





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