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自由の商人エヴァンス物語  作者: 橘 六六六
一章 新しいエヴァンス
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【1】エヴァンスのプロポーズ





 エヴァンス達は一時間程静かに飲み続け、ある程度酔いが回った所でワルキュリアとポポロは自己紹介をするとローバインは嬉しそうに柏手を打ち


「お噂は聞いておりましたが、お二方に一度お会いしたいと思っていたのです。滅獄のワルキュリア様の武勇に、マングースカの血族ポポロ様、供に我がドルトリアの制御不能の伝説ですからね。」


そう言いながらグラスを傾けて居ると、宿屋の外の大通りの方から何やら賑やかな歓声が上がっていた。ワルキュリアがそれに気付き


「外が騒がしいですが何があっているんですかね? 」


そう訊ねると。エヴァンスはめんどくさそうにテーブルに顎を乗せて


「あれはー。あれだ。スーパーチンドン屋が来ているんだよワルキュリア。ピストリア一座を超える賑やかで、星々を掴んでジャグリングするようなスーパーチンドン屋が。」


そう適当に答えると。ワルキュリアとポポロは目を爛々と輝かせながら立ち上り、走り去って歓声のする方へと向かった。ローバインはその光景を見て笑いながら


「エヴァンスさんもお人が悪い。今日はゲンシュタット帝国ワルシュク領を治めるルナフレア=ゲンシュタット様が休戦和平協議の為に訪れているのに。」


と澄まし顔で語るのをエヴァンスは冷ややかな目で見て


(こんなちゃんとした男と酒を飲んでいたら俺は頭がおかしくなってしまうに違いない。)


と思い。グラスを置いて


「俺はオシッコに行く。」


と言ってフラフラとトイレに歩いた。エヴァンスは用を足しながら窓から外の景色を眺めていると、トイレを足場によじ登り窓から脱出を図った。そして窓から宿屋の裏手へ出ると、そこにはポポロのモンパカ車を見付けた。いつもの如くモンパカの顔を撫でて可愛がると


「俺はちゃんとして無いのに、あんなちゃんとしたのと一緒に居たら俺はおかしくなっちゃうよ。俺は自由にやりたいだけなんだ。そう自由に。」


そう言うと服を脱いで上半身裸になってモンパカに跨ると


「ほら。どうだアルファード、ベルファイア(モンパカ二頭の名前)なんか自由な感じだろ? しかしまだ何か自由が足りないな。」


そう呟いて。ズボンとパンツを脱いで全裸になると、ズボンを顔に巻いて覆面の様にすると、モンパカ(アルファード)の綱を外して。


「おお! これぞ自由な姿だ! 俺の自由は誰にも止められんぞ! 」


そう陽気に叫ぶと。モンパカ(アルファード)は興奮してパカラパカラっと短い脚で走り出し、大通りへと向かった。エヴァンスも顔も隠れているしいいや、と調子に乗り。手綱を煽るとそのままルナフレア=ゲンシュタットの行列に出会してしまった。


 ルナフレア=ゲンシュタットは列の中央の馬車の荷台を豪華絢爛に飾り付け、ソファーの上で日傘を差して民衆の中を優雅に横行していた。それを目にしたエヴァンスは、氷の令嬢と言われる切れ長の目と白い肌の美しいルナフレア=ゲンシュタットに一目惚れをしてしまった。


 エヴァンスは今しか機会は無いと、モンパカ(アルファード)から飛び降り。そのままルナフレアの馬車の荷台へと全速力で走りルナフレアの乗る荷台へ飛び乗ると、覆面をズラしてルナフレアにだけ顔を見せた。全裸のままで。


「貴女に一目惚れです。結婚してください。」


そう大声で言うと。周囲の人々は


「何あれ。全裸じゃない。」


「変態よ。」


「ルナフレア様になんて事を。」


と口々に呟き騒ぎになり。突然の事に唖然としてあいた衛兵達は我に返り


「変態の曲者がでたぞー! 捕らえよ! 」


と掛け声を上げエヴァンスに襲い掛かった。エヴァンスは覆面を戻して全速力でモンパカへ戻りそのまま走り去って行った。周囲の人々は


「流石、氷の令嬢ルナフレア様。あの緊急事態に顔色一つ変えない。」


と感心していたが。ルナフレアは心境が顔に出ないだけで心の中は大パニックになっていた。






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