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自由の商人エヴァンス物語  作者: 橘 六六六
三章、モンパカ交易社拡充
59/109

【54】モンパカ交易社の休日




 エヴァンスとポポロはそれからドルトリア王国へと戻り、品物を揃えるとバスキリア帝国とポンドゥロア公国を往き来して商売をすると、ドルトリア王国へと戻り荷物を降ろして商いを終えた。


 そしてエヴァンスとポポロは二人でガルボの宿屋へと行き酒を飲む事にした。エヴァンスは二人分のビールとツマミをエリナに頼むと、エリナは


「あれ? 今日はワルキュリアさん居ないのね。」


「ワルキュリアは今休暇中だ。」


「そうなの? あんたの会社にしては珍しいわね。」


エヴァンスはエリナにそう言われて、自分達がここ最近は休み無く働いている事に気が付いた。そして隣からポポロも言った。


「そう言や、ワタシは休暇が無いわよね。」


その言葉にエヴァンスはギクリとした。そして今は立ち上げ中なのを理由に我慢させようとしたが、それではダメな事にも気付き少し反省して居た。するとそこへローバインも現れて


「お疲れ様です。エヴァンスさん、ポポロさん。今日はこちらでお食事ですか? 私は仕事の帰りにこの店でお酒を飲むのが楽しみでですね。」


そうキッチリとした笑顔で挨拶をすると、エヴァンスとポポロのテーブルへと同席した。エヴァンスは先程の話しの事もあり、ローバインへと訊ねた。


「なあローバイン。今になって気になったんだが、お前って家族居るの? 」


「はい。妻と子供が二人居りますが。」


「お前も俺と働きだして休みが無いよな。子供とは遊んでやっているか? 」


「そうですね。最近はあまり。」


そう話しているとエリナがビールとローバインのブランデーを持って来た。そしてエヴァンス達は乾杯をして酒を飲み始めると、エヴァンスはジョッキをテーブルに置いて


「よし! 明日と明後日の2日間はお前達も休みだ。仕事は無し! 」


「えっ? マジで? 」


「今、商売も軌道に乗り始めたのに大丈夫なのですか? 」


「ああ本気だ。プライベートの充実は仕事にも影響する。明日、明後日は休みだ。ローバイン、事務所の鍵を貸しな。」


そう言ってローバインから事務所の鍵を預かると二人に金貨を1枚ずつ渡してジョッキのビールを飲み干した。そして料理を運んで来たエリナに銀貨を3枚渡すと立ち上り


「今日はここまで。今からお前達も休みだから好きにしな。その代わり3日後の朝はちゃんと出て来いよ。」


そう笑ってエヴァンスは自宅へと帰った。ポポロとローバインはそんなエヴァンスの行動に驚きながら目を合わせて酒を飲み続けた。



△▼△▼



エヴァンスは自宅で一人溜まった新聞を読みながら、ウィスキネ産のウィスキーの瓶を開けた。そして最近のこの界隈の事件や出来事を知り、次の商売の事も考えた。するとエヴァンスの家のドアを誰かがノックした。エヴァンスはドアを開けるとそこにはポポロが酒瓶と干し肉を持って立っていた。エヴァンスはポポロへ


「なんだお前、もしかして休暇の過ごし方が解らないタイプか? 」


「そんな所よ。」


そう言って家の中へ案内した。エヴァンスはテーブルの上の新聞を重ねて端に置き、グラスをもう1つ置いて


「どうせ飲み仲間のワルキュリアが居ないから、俺ん所に来たんだろ。ポポロも彼氏作れば良いんだよ。ロブロイ公とか良いんじゃないか? 」


と冗談を言うと、ポポロはエヴァンスの脛を蹴ってグラスにジンとライムジュースを注ぐと


「ワタシはこう見えても200歳なのよ。今更、小僧に恋心なんて目覚めないわよ。」


そう言って飲み始めた。エヴァンスは脛を痛がりながらも席に着き


「別に婆だって恋しても良いだろよ。」


「誰が婆よ。」


そう言ってポポロにもう一度脛を蹴られた。エヴァンスは脛を痛がりながらも


「じゃあワルキュリアの幸せに乾杯。」


そう言ってグラスを差し出すと、ポポロは鼻で笑ってグラスを当てて


「孤独だった戦士に乾杯。」


そう言って笑い二人は真夜中まで飲み、気分の良くなったポポロは上機嫌で家へと帰って行った。





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