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自由の商人エヴァンス物語  作者: 橘 六六六
三章、モンパカ交易社拡充
56/109

【51】ジントリアで朝食




 エヴァンスは二人の目を見ている。そして二人の入社動機を訊ねてはみたが、特にそれに対して答えを持ち合わせている訳ではなかった。エヴァンスはそれでも子供二人を連れ回して良いものかと考えはしたが、二日酔いで頭が回らないため


「よし! じゃあ朝ごはん食べたら付いてこい。その代わり、しっかり朝ごはんを食えよ。」


「『はい! 畏まりました! 』」


二人は嬉しそうに声を揃えて返事をすると、エヴァンスは立ち上り背伸びをして欠伸をして二人を連れて食事を行う『白鳥の間』へと向かった。エヴァンスが白鳥の間へ入ると既にブルームーンとポポロが座っており、エヴァンスはポポロとの間を二席空けて


「お前等はそこに座りな。サファイアはポポロの隣な。これからお前の上司になるから。」


そう言うと、ポポロは驚いた顔をして二人をジロジロ見た後にエヴァンスの顔を見て口をパクパクさせた。エヴァンスそんなポポロを見て何を言おうか考えていると、席中央のブルームーンが


「このライム=ジルキアスとサファイア=ジルキアスは儂の孫でな。是非、このポンドゥロア公国の為にも儂の次に自由な男。エヴァンスに商売を学んで貰おうと思ってな。」


そう言うと、エヴァンスはこめかみをピクピクさせながら


「ライム。サファイア。お前達にブルーよりも俺の方が自由だと教え込んでやる! 」


ちょっと語気を強めてブルームーンを見ながら言った。ブルームーンはそんなエヴァンスを見ながらニヤニヤして食事を続けていると、ウィスキネ城に残されていたミスティー=ジントリアが白鳥の間へと入ってきた。ミスティーはエヴァンスを見るや


「エヴァンス様。お久し振りで御座います。前の大戦でのエヴァンス様の御活躍にほとほと感服して居りましたわ。」


「おおー! これが昨日言った儂の末娘じゃ。どうじゃ? ってお前等は知り合いか? 」


エヴァンスは「よう。」と素っ気ない返事をして食事を続け、ミスティーは顔をあかくしながらエヴァンスの隣に座った。そしてエヴァンスの顔をチラチラと見て落ち着かない様子であった。その様子に気付いたブルームーンは『もしや』と思い


「と、ところでエヴァンスは結婚とか、恋人欲しいなー。とか思わないのかなー? 」


とよそよそしく白々しく訊ねると、エヴァンスは目玉焼きをチュルンと頬張り返事もせずにモグモグ食べながらブルームーンの顔を死んだ魚の様な目で見ている。そして飲み込むと


「今日はコイツ等に仕事を教えなくちゃなんねえから、そろそろ出掛けないとな。」


と全然関係の無い返事をして、ブルームーンとミスティーはガックリと肩を落とした。エヴァンスはハムを噛り


「商売ってのは欲しい人の所へ欲しい物を動かし利益を得る。それを繰り返すうちに、人々に欲しい物が行き渡る。それは世界を繋ぐ事で世界をより平和にする事なんだ。だからどんどん進まないとな。」


そう言うと隣で、ライムとサファイアは目を輝かせながらエヴァンスの話しを聞いて頷き、ブルームーンは


「コイツは何処までも突き進む気なんじゃな。」


そう言って微笑み、エヴァンスは最後にフルーツ籠からバナナを取りモシャモシャと食べている。そして朝食を終えるとエヴァンスとポポロ、それに新しく加わったライムとサファイアは戦艦に乗り込みジントリア城を後にしてドルトリア王国へと向かった。


 ライムとサファイアは初めての空飛ぶ戦艦に興奮しながら喜んで景色を見ていると、エヴァンスは後ろから二人に近付き


「こんなデッカイ戦艦なのにさ。この世界から見れば本当に小さいもんだよな。わくわくするだろ? 」


そう言って船内へと引き返して行き、ライムとサファイアは二人でエヴァンスの言葉を聞いた後に二人で顔を見合わせて笑顔で頷き合うとエヴァンスの後を追って船内へと入った。






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