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自由の商人エヴァンス物語  作者: 橘 六六六
二章 -2ポンドゥロア大戦
54/109

【49】ワルキュリアとリシュタイン




◼️◻️◼️◻️



 リーベル城へと二人残ったリシュタインとワルキュリアであったが、リシュタインは混乱に満ちたリーベル城を整える為に寝ずに政務に励んでいた。ワルキュリアもそんなリシュタインの為に不馴れながらも料理を作ってみたりして応援した。


 リシュタインが指示を出し終えて政務室でひと息吐いている所にワルキュリアは手作りの朝食を持って現れた。日頃の鎧兜姿では無く、真っ赤なドレスに身を包んだワルキュリアは美しくてリシュタインは息を飲んだ。そしてワルキュリアは


「不馴れなもので美味しいか分かりませんが、これを食べて一休みしてください。」


そう言って、焼いたパンと鶏肉のスープと鶏肉を焼いた物をリシュタインの前に差し出した。リシュタインは感激で飛び上がり


「ワルキュリア殿も寝ていないで有ろうに、こんな朝食まで用意して頂いて感激です。」


そう言って、リシュタインはテーブルに朝食を置くと続けて言った。


「良かったら二人で一緒に食べましょう。」


「不馴れで、朝食は一人分しか作れなかったもので...... 。」


「じゃあ、半分こずつしましょう。」


と笑顔でリシュタインは椅子へワルキュリアを座らせると、向かい正面に自分も座った。そしてパンを半分に千切りワルキュリアに渡すと恥ずかしそうに


「私はこう見えて貧しい家の出身なもので、こうして食べていると食事を母と二人で分けながら食べた日の事を思い出します。私は人と分け合う事が幸せだと思うのです。食事を分け合い、場所を分け合い、時間を分け合う。それが皆が笑顔で居られると思うのです。そしてそれは今、確信に変わりました。ワルキュリアさんと分け合うのがこんなに幸せですから。」


そう言って、子供の様に笑うとパンとスープ口にした。ワルキュリアはこのリシュタインの笑顔に尚更ときめいてしまい、リシュタインの頬を撫でて


「スープが頬に付いていましたよ。落ち着いて食べてください。」


そう微笑むと、リシュタインも美しいワルキュリアの笑顔に惹き寄せられて顔を手で触れながら二人は口付けを交わした。そして二人は微笑み合い、顔を離すとリシュタインは照れ隠しに


「このワルキュリアさんの作ったスープ凄く美味しいですね。でしたっけ。」


「お、お口に合って良かったですわですます...... 。」


と二人は初めてのキスに辿々しく会話をして、二人で顔を見合わせて笑った。


「1週間後に開かれる五酒豊祭まで、エヴァンス様が『リシュタインさんを手伝ってくれ。』と言われたので、それまで私、こうやって朝食を作って良いですか? 」


「はい! 是非お願いします! 」


リシュタインが食いぎみに返事をすると、ワルキュリアは安心して微笑み、もう一度軽くキスを交わして


「それじゃあ、食器を片付けますね。」


そう言って、食器を片付けるとリシュタインは嬉しくなり


「よし! リーベル領をポンドゥロア一の幸せな国にするぞ! 」


と拳を突き上げ気合いを入れ直した。徹夜明けにも拘わらず不思議とリシュタインは元気で溢れ政務へ精力的に励み、そんなリシュタインにワルキュリアも更に応援しようと気合いを入れた。



△▼△▼



 エヴァンスとブルームーンは二人で酒を飲みながらブルームーンが


「あのリシュタインと付き合い始めたのが、噂の滅獄のワルキュリアだったとはのう。あんなべっぴんさんだとはのう。」


「ああ、しかし基本本人の意思に任せるけど、人手不足でワルキュリアに会社から抜けられると困るんだよな。」


「なら儂の孫で移動魔法が得意な奴がおるぞ。」


「マジか!? それは助かるぞブルー! 」


なんて話しながら酒を酌み交わしていた。そして五酒豊祭の内容を聞いてエヴァンスは、ポンドゥロア中の酒が集り、三日三晩飲み明かす祭りだと聞いてテンションを上げていた。






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