表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自由の商人エヴァンス物語  作者: 橘 六六六
二章 -2ポンドゥロア大戦
51/109

【46】ハッピーバーサーカー




 リシュタインは激しい戦闘の中でもワルキュリアの言葉に心踊らせ浮かれながら、カイエルへ更に斬り掛かり


「お兄さん。こう見えて私、結構真面目な性格でしてエールリル領のビアダル=エールリル公爵の側近として働き、貯蓄もちゃんと有ります。その内に結婚の報告にも伺わせて頂きます。」


そう言いながら剣を振り、カイエルは剣をまたも受け止めて


「貴様は交際報告しながら斬り掛かり、その上自分の素性を語りながら、未来の妄想しながら下準備の報告もするの? 何? なんてマルチタスクなバカなんだ。」


「いやぁ、ワルキュリアさんって凄く美人で気が利く方でそして強くて、そんな憧れの方に交際を認められてもう私嬉しくて嬉しくてですね。」


「いや貴様の嬉しい気持ちは解ったよ。しかし報告か戦闘はどちらかにしてくれないかな? 」


「お兄さんこれは失礼しました。」


「さっきから『お兄さん』『お兄さん』って私はお前の兄ではないぞ! 」


「これはまた失礼しました。婚姻はまだでしたね。その時はまたご挨拶に伺います。」


「それもまたおかしい! 」


そう言って切り離れると、ワルキュリアは魔法障壁の破壊に成功したらしくウォルスカ城を覆う魔法障壁は徐々に薄れていった。それを見たカイエルは剣を収め


「ちっ、魔法障壁が無くなれば太陽の下で私は活動出来ない。私は退くぞ。」


「はい。お兄さんが居なくなってもワルキュリアさんは私が幸せにします。」


「そんなにワルキュリアの何処が良いんだ。」


「何を言いますか。ワルキュリアさんはこの世でたった一人の美しく強く優しい女性です。惚れない方がおかしいですよ。」


「ふっ、恥ずかしい言葉を恥ずかし気も無く口にするんだな。お前の剣もなかなかだ、い、妹を頼んだぞ...... 。」


そう言ってカイエルは闇の中へと姿を消して行った。リシュタインは消え行くカイエルに一礼するとウォルスカ城を見上げ


「ワルキュリアさーん! 」


と叫び剣を収めて駆け出して行った。



△▼△▼



 その頃ウォルスカ城を見下ろす丘では、戦闘の準備を終えた、アレキサンダーとエヴァンス達は魔法障壁が消えるのを待っていた。エヴァンスはアレキサンダーの肩を叩いて


「俺は一介の商人だから支持はアレキサンダー公がやってくれよな。商売には頭は回るが俺は戦闘はからっきしなんだ。」


そう言って干し肉を噛りビールを飲んでいた。アレキサンダーはそんなエヴァンスに微笑み頷くと、見張りの兵士が


「アレキサンダー様! ウォルスカ城を取り囲む魔法障壁が消滅していきます! 」


その言葉にアレキサンダーは剣を指し示し


「それでは空挺よ進撃せよ! 」


と号令を発するとポポロは魔力を戦艦へ送り、戦艦は徐々に陸地から離れていった。アレキサンダー率いる兵士達は驚き唸り、アレキサンダーもまた興奮していた。そしてポポロは驚くアレキサンダーへ自慢気に


「それじゃあ行くわよ。」


「ああ頼む。」


その会話と共にポポロは杖を前に振りかぶり、戦艦をウォルスカ城へ向けてゆっくりと発進させた。この様な大きな戦艦が宙に浮き前へ進む事に兵士やアレキサンダーは驚き、手摺から身を乗り出して戦場を見渡した。アレキサンダーは喜び


「なんと豪快で、なんと爽快な。」


と口にすると兵士達もお互いに顔を見合わせて驚きと喜びに満ちていた。そこでアレキサンダーは我に帰り


「こほん。気持ちは解るが今は戦場である。総員配置に着かれよ! 」


と指示を出した。そしてアレキサンダーは砲撃の指示を出す為に戦場を見ていると何やら様子がおかしかった。ポンドゥロア連合の騎兵隊も歩兵も動きを止めて、それに続きウォルスカ兵も止まり、戦闘を止めていた。しかし上空からその細かい様子までは判らずにアレキサンダーはポポロへ低空飛行へ移るように指示を出すとポポロは杖を低くして、戦艦の高度を下げた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ