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自由の商人エヴァンス物語  作者: 橘 六六六
二章 -2ポンドゥロア大戦
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【43】ポンドゥロア決戦



 

 エヴァンスとポポロは要塞の横へ戦艦を停めると、甲板からモンパカ車で降りて要塞の前へ停まった。そしてエヴァンスは戦艦の船体をペチペチ叩くと


「もっと簡単に乗り降り出来る様に改造しないとな。」


そう言うと、要塞で待っていたリシュタインの下へと近付いた。いつも涼しげな顔をしたリシュタインも流石にこの状況には驚いた顔をして


「戦艦で空を飛ぶだなんて、こんな人間が居るとは思わなかった。ポポロさんの魔力とはそこまでの物なのですね。」


「ああ、正直俺も驚いたよ。爽快だぜ! それよりロブロイ達がジントリア奪還に成功して。ウォルスカへ総攻撃を仕掛ける準備をする事になった。もうじきロブロイとワルキュリアもこっちに来るぜ。」


「何と早い展開ですか。これは私も想像も着きませんでした。」


「そうだな。まさかのジントリア城が蛻の殻だったんだ。何でか解らないが、もし罠だとしてもこの機を逃す訳にはいかないからな。」


エヴァンスはそう言って要塞の中へと入って行き、その後ろからポポロ、リシュタインと続いて要塞の中へと入りビアダルの到着を待つ事にした。


 夕刻になるとビアダルとワルキュリアの団体が合流して要塞の中は人だかりとなり、エヴァンスはポポロの体力を気遣って食事を取ると溢れた兵士と共に戦艦の中で休息を取る事にした。



◻️■◻️■



 朝日と共に戦闘の準備が出来た全ての兵士達は決戦を前に息を荒くして士気を高めていた。エヴァンスは歯を磨きながら戦艦の上から眺めていると、ビアダルが手を挙げて合図を送っにた。するとポポロはモンパカ車を下ろして次々と兵士達を戦艦へと乗せた。そして準備を終えると甲板で兵士達は初めて観る陸地での戦艦の上からの光景に見入った。ビアダルも手摺から乗り出し


「陸地で戦艦とは何と豪奢な気持ちにさせてくれる。」


そう言って笑うと、エヴァンスはビアダルの隣へ行き肩を叩いて


「いよいよ決着だな。出来れば今後の為にビアダルが手柄を立ててくれよ。」


と笑い二人で並んで朝日を観た。この日の陽の光りは黄金色に草原を染め上げて、まるで黄金の海原に停泊している様な気色にさせた。エヴァンスとビアダルは二人で握手するとポポロに合図し、ポポロは魔力を戦艦に拡げて戦艦は徐々に浮かび始めた。そして雲の下まで浮き上がるとビアダルが剣を掲げ前を指すと戦艦はウォルスカ城へと発進した。


 戦艦は空へ上がると風を切り突き進み、この豪快な光景に兵士達は熾烈を予想される戦いであるにも関わらず心は高揚していた。エヴァンスは相変わらず気の抜けた感じで温かいコーヒーを飲みながら遠くを見詰めていた。ワルキュリアは剣を磨きながら戦いに備え、リシュタインはその姿を見詰めていた。リシュタインは話し掛けたかったが、カイエルとの一件を考えると何と言って良いのか判らなかった。


 エヴァンスはそんなワルキュリアとリシュタインに近付くとコーヒーを啜りながら


「この戦艦が有るからお前達の出番は無いかもしれないぜ。」


と笑いながら言って、リシュタインは不思議そうにエヴァンスへ


「接近戦無しに終われる戦いであるとは思えませんが。」


「戦艦が空を飛ぶって言う事はお前達の考える以上の事になるよ。」


そう言って笑いながら船内へと移動した。リシュタインはワルキュリアへ


「エヴァンスさんはああ言っていますが、どう考えられますか? 」


「戦いに近接戦は付き物ですが、エヴァンス様が言うのであればそうなのかも知れません。しかし私は兄と斬り合うよりはそちらの方が良いかも知れません。」


「そうですね。私にもっと力があればと思います。」


「力があれば? 」


「あっ、いや、そのですね。」


リシュタインは『貴女を守れるのに』の言葉を出せずに顔を赤くして頭を掻きながら照れ隠しに剣の手入れをし始めた。





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