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自由の商人エヴァンス物語  作者: 橘 六六六
二章 -2ポンドゥロア大戦
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【42】新たなる乗り物




 エヴァンスとポポロがジントリア上空を飛ぶと何やら様子がおかしく、降りて確認をすることにした。本来ならポンドゥロア連合がウォルスカに占領されたジントリア奪還の戦闘が行われているものと思ったが、戦争とは程遠く穏やかな空気が流れている。


 エヴァンスとポポロがジントリアの町へ降り立つと、ポンドゥロア連合の兵士が近寄って来た。エヴァンスはこの状況を不思議に思い訊ねると兵士は


「エヴァンスさん。不思議な事に我々は先程到着したのですが、ここにウォルスカ兵は独りも居なかったのです。今、ロブロイ様、アレキサンダー様、ビアダル様の御三方が城の中を確認しております。」


そう言うのでエヴァンスとポポロはモンパカ車でトコトコ城へと向かった。城の中へ入ろうとすると、中からビアダルとワルキュリアが現れてエヴァンスと出会うと


「ここにウォルスカ爆鬼三将が陣取って居ると聞いたのに、俺達が到着した時には蛻の殻だったぞ。」


「おかしいな。確かにウィスキネの海戦後にジントリア城へとアイツ等は移動したんだけどな。」


「しかし居らんもんは居らん。それで俺達はウォルスカ領へ最終決戦に持ち込む事にした。その物資はこの戦況で重要になる。ロブロイ公へ渡してくれ。」


「おう。それじゃ後からウォルスカ境界の要塞で落ち合おう。」


そう言ってエヴァンスとポポロは兵士達を呼び止めて、モンパカ車の荷台から物資を下ろして兵士長からお代を貰うとそのままジントリアの海岸へ向かった。


 するとそこにはエヴァンスの予想通り、ウォルスカの戦艦が置き去りにされていた。エヴァンスはポポロに


「おい。ポポロあそこの戦艦の上に停めてくれ。」


そう指示を出すと甲板の上にモンパカ車を停車させ、エヴァンスはモンパカの顔を撫でると戦艦の中を調べ始めて船内を見回した。数十分後にエヴァンスは甲板へと出て来て船体に付けられたウォルスカの紋章を全て取り外すと


「よっしゃ!これ貰うぞ。ポポロ頼んだ。」


「アンタねえ。そりゃ飛ばせるけど、アタシの給料増やしてよね。」


「そりゃ勿論だ。」


エヴァンスはニヤリとしてポポロの背中を叩いた。ポポロは杖を取り出し振ると戦艦全体に魔力を拡げ、徐々に戦艦はポポロの魔力に覆われて戦艦はゆっくりと浮き上がり、波打つ海面から離れて行った。


 そして丘よりも高く浮き上がり、雲へと近付き輝く太陽を全体で受けて輝いた。エヴァンスは嬉しくなりポポロを抱き締めるとポポロは恥ずかしそうに頬を赤らめ


「ちょっと、操縦の邪魔だから放してよ。でもこんなにワタシを必要としてくれる事に感謝しているわよ。ワタシにしか出来ない事をエヴァンスは教えてくれたわ。」


「何言ってんだ大いに必要だよ。スゲーなポポロ。それじゃ行こうぜ! 」


「任せなさい! 」


そう言ってポポロは杖を前に振り、巨大な戦艦はエヴァンスの物として海から空を飛ぶ乗り物へと生まれ変り、空を切りながら雲を割いてウォルスカ境界の要塞へと向かった。エヴァンスはポポロの魔力消費を気にして


「お前さ。こんな大きなの飛ばして魔力は大丈夫なのかよ? 」


「大っキライだけどこれだけはマングースカの血に感謝ね。使える魔法は少ないけど、魔力は凄くたくさん有るみたいで全然平気よ。」


「じゃあこれからはお前が船長だな。」


そう言ってエヴァンスはポポロの肩を叩いて笑った。ポポロはその嬉しそうなエヴァンスの笑顔に初めて自分の居場所を見付けた気がした。


 エヴァンスとポポロはアッと言う間に要塞へと辿り着いたが、事情を知らない兵士達は慌てて武装して戦艦に攻撃体制で取り囲んだ。すると甲板からエヴァンスは手を振って


「おーい! 心配するな俺達だ! 」


と大きい声で訴えると、エールリルの兵士達は呆気に取られた。何故なら彼等は戦艦を空に飛ばす何て事を見たことも無かったからだ。




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