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自由の商人エヴァンス物語  作者: 橘 六六六
二章 -2ポンドゥロア大戦
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【39】戦士達の休息




 ロブロイ率いるポンドゥロア連合艦隊は、ジントリア領とエールリル領の境界に建てられた要塞へと移動して、その間にエヴァンスはビアダルへの伝達を受けウォルスカ領境界の要塞へと向かった。


 海岸に船を停泊させ、陸路を進み向かうポンドゥロア連合はウォルスカ軍の急襲を警戒しながら進むが、先の海戦で痛手を受けたウォルスカ軍の急襲は起きなかった。



△▼△▼



 ポポロのモンパカ車はエールリル城を経由して要塞へと向かい、エヴァンスは食料等を降ろすとワルキュリアの下へ向かった。ワルキュリアは先日のカイエルとの出会いを引きずっているらしく少し暗い顔をしていた。


 エヴァンスはそんなワルキュリアへジョッキを渡し


「ほら、ビアダルからビールの差し入れだ。ドルトリア王国の肉料理も有るぞ。」


そう言って、テーブルへ料理を並べてビールを注ぐと先にポポロが飲んでいた。エヴァンスはポポロの頬を摘み


「てめぇ何先に飲んでんだよ。」


「何よ。不眠不休で飛んだワタシの労をねぎらいなさいよ。」


そう返されるとエヴァンスは少し考えて


「それもそうだな。よし! 良く頑張った! 飲め! 」


そう言うと皆笑い、各々がジョッキを手に取りビールを飲み始めた。エヴァンスは皆へ


「おう! お前達もこのモンパカ交易社からの差し入れ、ドルトリア料理を食べてくれ。」


そう言って料理を振舞い、食堂の兵士達に一気に笑顔が戻った。そこへリシュタインが現れエヴァンスへ


「エヴァンスさんのお陰で兵士達に活気が戻りましたよ。本当にありがとうございます。しかし、敵は魔王軍。夜襲の心配は拭えませんが。」


そう言うと、エヴァンスは


「このモンパカ交易社を信じてお前も飲めよ。この食事会の為に大量の聖水買ってきて、この要塞周辺全体に撒いてるから。」


そう言って、リシュタインの肩を叩いてビールを一気に飲み干すと口に泡を付けて笑った。リシュタインもそれに応えてジョッキを手に取り飲み干すと兵士達から拍手が沸き起こった。そしてエヴァンスはワルキュリアの隣に座り


「ドルトリアの酒も有るから今日は飲め。」


そう言って、ローバインが飲んでいるブランデーのボトルを置いて笑うとワルキュリアは真面目な顔で


「私は幾ら魔王軍に身を置いたとしても、兄を斬る事は出来ないかも知れません。」


「じゃあ良いよ斬らなくて。ポンドゥロアさえ戻ればお前が兄妹喧嘩しなくて良いよ。それより飲もう。」


そう言って背中を叩いて、エヴァンスはビールを飲み始めた。そしてエヴァンスはビールに飽きてブランデーに手を伸ばし飲み始め、酒に酔った兵士達は腕相撲をやり始めたり、歌を歌い出したりと盛り上がりを見せた。そして一発芸を始める者も出てワルキュリアもそれを見て笑っていた。エヴァンスはそれを見ると鼻で息を吐き、微笑むと一人席を立ち要塞の屋上へと兵士に酒を持って行った。


 エヴァンスは松明を持って石造りの階段を登り屋上の見張り台へと進んだ。そして見張りの兵士にエヴァンスは酒を渡して


「差し入れだよ。飲みな。敵は来てるかい?」


「これはこれはエヴァンス殿かたじけない。ゾンビ兵は出て居りますが、聖水のお陰で近付けないでおりますよ。ありがとうございます。」


受け取った酒を飲みながらそう答えた。エヴァンスは目を凝らして闇を見詰め目を慣らすと


「本当だ居やがんな。」


そう言いながらフラフラと塀に腰を下ろして、ゾンビ兵を眺めながら酒を飲んでいたが、少し経つと飽きて見張りの兵士の所へ戻り、乾杯をすると二人で話しながら飲み続けた。時折、周囲を見渡すが特に襲撃が起こる訳でも無く兵士とエヴァンスはバカ笑いしながら酒を飲み。二人で暫く酒を酌み交わして、瓶が1つ空く頃には兵士は酔って寝てしまっていた。


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