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自由の商人エヴァンス物語  作者: 橘 六六六
二章 -2ポンドゥロア大戦
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【38】ウィスキネ海戦-3




 ジャックとブルドッグは互角の戦いを繰り広げた。お互いに一撃が致命傷となる戦いで、二人とも無傷ではあるが体力をドンドンと消耗しており息を切らしながらも攻防を繰り広げていた。海戦開始から二時間が経った頃に状況は一変した。


 ウォルスカ軍の艦隊に何故か空から大量の砲弾が、まるで雨の様に降り注いだ。その爆撃によりウォルスカ軍の戦艦は四隻沈んでいき、爆風で霧が晴れ幽霊船は陽の光りに当たると、砂が風に運ばれる様に徐々に消えていった。


 よく解らないが一気に変化した戦況に、ポンドゥロア連合艦隊とウォルスカ爆鬼三将は戦いの手を止め空を見上げた。


 その先には馬車が空を飛んでいる。それを見たロブロイとアレキサンダーは声を揃えて


「エヴァンスだ! エヴァンスの奴がやってくれた! 追撃だ! 」


そう声を揃えて戦艦へウォルスカ軍艦隊への追撃を指示した。そして船首を向けて進む中、ウォルスカ軍爆鬼三将の一人青い髪のバニーガール、ブラッディーメアリーが全ての艦へ占領下のジントリア領への一時退却を指示した。それに反応したジャックは槍を肩に掛け


「お互い陸戦が得手なら、思う存分にパワーとエナジーぶつけられんな。俺は帰るから、お前も休んどけよ。」


爆鬼三将の一人ブルドッグへそう言って、戦艦の脇に付けた巡視船へと駆け降りた。


 ウォルスカ艦隊を追う戦艦の甲板でロブロイの前に一台のモンパカ車が降りてきた。そして荷台から降りてきたエヴァンスは気不味そうに頭を掻きながら


「すまんロブロイ。お前等の船だったんだな。ドルトリアで仕入れた砲弾を全部落としちゃってさ。あ、あれだよわざとじゃねえよ。いきなりコンドルがぶつかって来てさ...... 。」


「何言ってんのよエヴァンス。あんたが干し肉見せびらかしてコンドルなんておちょくるから襲われたんじゃないのよ。」


そう言ってポポロはエヴァンスの頭を叩いた。それを見たロブロイは笑いながら


「ほんとお前等と来たら、何がなんだかド派手に決めてくれんな。心配すんな、お前が砲弾を落としたのはウォルスカの戦艦だよ。」


「えっ? そうなの? 」


「そうだよ。お陰で初戦は大勝利だ。」


それを聞いたエヴァンスは手揉みしながら、卑屈な笑顔で


「な、ならロブロイさあ。砲弾のお代の金貨20枚は支払って頂けるのかなあ? 」


と問うと、ロブロイは大笑いしながら振り返り船内へ向かう扉へ歩きながら


「さあどうだかな。お前が勝手に落としたんだし。それよりこっち来て戦況を教えてくれ。情報料は払ってやる。」


と言って。船内へと入り、その後ろをエヴァンスとポポロは続いて歩いた。船内の船長室でエヴァンスは、ビアダルがエールリル城を奪還した事、そしてエールリル領とウォルスカ領境界の要塞を占領した事を、その時に出会った『カイエル=ドラクルス』がワルキュリアの兄であった事、そのカイエルが魔王軍であったことをつらつらとロブロイへ説明した。その話しを聞いたロブロイは金色のリーゼントに櫛を通しながら


「そう言う事か。通りで幽霊船やゾンビ兵なんてシャベーもんが出て来やがったんだな。しかし何でスクリューの野郎は魔王軍となんか...... 。」


「そこに関しては俺が調査済みだ。スクリュー公のウォルスカ領で商売をしていた、闇商人がスクリュー公と魔王軍を引き合わせた様だ。」


そのエヴァンスとロブロイの会話に横からポポロが


「その闇商人ってなんなのさ? 商人に闇もクソも無いじゃない? 」


「闇商人ってのは商売の為に手段を選ばない奴等だよ。人を大量に殺す兵器や、人身売買や、危険な薬物、兎に角なんで有りだ。今回ポンドゥロア連合とのこの戦争の合間に俺はそいつを見つけ出す。」


「ふーん。あんまり解んないけど。」


そのやり取りの中で、ロブロイはジントリア領へ進行して陸戦からビアダルとの合流を指示した。





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