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自由の商人エヴァンス物語  作者: 橘 六六六
二章 -2ポンドゥロア大戦
40/109

【35】カイエル=ドラクルス-2




▼△▼△



 外の戦況と反して要塞内のエヴァンスは穏やかに眠りに着いていた。しかしエヴァンスは途中でヨダレを滴ながら目を覚まし


「おいポポロ。そう言や俺達、ワルキュリアの戦いを見た事が無かったな。ちょっと観に行こうぜ。」


「そうね。いつもワタシ達が着く頃には終わってるからね。」


ポポロもそう答えるとビールを飲み干して、酒瓶と干し肉を手に取り二人はモンパカ車へと向かった。そしてモンパカ車でワルキュリア達が戦う場の上空へ飛んだ。



▼△▼△



 戦況は長時間に及び、リシュタインは次々と襲い掛かるゾンビ兵を斬り倒して行くが、不死身のゾンビ兵はそれでも襲い掛かる。そこを横から魔導師が強力な炎魔法で焼き払うが、徐々に体力を削られていた。


 ワルキュリアとカイエルは何度も剣をぶつけ斬り合うが決定打は無かったが、ワルキュリアの剣撃でカイエルが体勢を崩した隙に左腕を斬り落とした。そしてワルキュリアはカエイルへ降参を打診した。


「兄さん決着です。もう諦めてください。兄さんの事を父も母も心配していました。もう戻りましょうよ。」


「クククククッ...... 。相変わらず甘いなワルキュリア。」


そうカイエルはワルキュリアの言葉を嘲笑し、斬り落とされた左腕をくっ付けると、みるみる腕は繋がっていった。そして完全に繋がるとカイエルは左手を開いたり閉じたりと繰り返して


「知っていたかワルキュリア。私達ドラクルス家はヴァンパイアの血が流れていたのだよ。それを魔王様が覚醒させてくれてな。私は不死身で無敵の力を手に入れたのだよ。」


「兄さん。私の『滅獄』には無敵も不死身も存在しませんよ。」


ワルキュリアは涙を滲ませながら剣を構えた。しかしカイエルは不適な笑みを浮かべると、ゾンビ兵がワルキュリアへ襲い掛かった。そしてワルキュリアは滅獄を放とうとするとゾンビ兵は自爆し、隙が出来たワルキュリアへ更にカイエルは斬り掛かる。


 しかし兄を斬る心を決めたワルキュリアはカイエルの剣を断ち斬り、カイエルの右足と左腕を斬り落とした。カイエルは地面に倒れ、ワルキュリアはそれを見下ろし剣を構え


「兄さん。最後に言いたい事は有りますか? 」


「ふっ。遂にお前に負ける日が...... 」


「うわーーーーーーー!!! 」


カイエルが最後の言葉を語る途中で、何故か全裸のエヴァンスが空から落ちてきてカイエルの顔面に跨がっている。そしてカイエルは


「臭っ! 暗っ! なんだ? 私は殺されたのか? これが地獄か? わっ! 何か口に柔らかい物が! モゴゴゴゴッ、モガッ...... 。」


突然空から落ちてきた全裸のエヴァンスにワルキュリアは呆れて剣を下ろし


「エヴァンス様。何をやっているのですか。気を付けないと兄さんはヴァンパイアになったので大切な所を噛まれますよ。」


「マジでか! 」


エヴァンスは慌てて立ち上り


「すまんすまん。上からポポロと酒を飲みながら見ていたんだけど、魔導師の炎がけっこう熱くて服脱いで見てたんだけど荷台から足を滑らせちゃって...... 。」


そう話していると、戦場となった草原に朝陽が昇り始めた。カイエルは朝陽に気付くと


「私は生きているのか? しかし朝陽が昇ればこれ以上戦う事は出来ない。ここは退くぞ。」


そう言うとゾンビ兵達は土の中に戻り、カイエルは


「次はこうはいかないぞワルキュリア。」


こうして移動魔法を唱えて戦場から消えた。エヴァンスは手に持った酒を飲みながら


「人の尻でもがいていた奴が何カッコつけてんだ。」


そう言うと、ワルキュリアはエヴァンスに呆れながらも実の兄へ止めを刺さずに済んだことに内心ホッとしていた。そうしているとポポロが上空から降りて来、リシュタイン達を荷台に乗せて要塞へと戻った。しかしワルキュリアの兄カイエルが魔王軍に入りヴァンパイアとして現れた事はワルキュリアの心に影を残した。




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