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自由の商人エヴァンス物語  作者: 橘 六六六
二章 -2ポンドゥロア大戦
39/109

【34】カイエル=ドラクルス




 息を飲む会議の中でエヴァンスはビールを飲み出し、お代わりをして3杯目を飲み始めた。そして他の酒にまで手を出して、大分酔いが回っていた。その時に見張りの兵士が駆け降りてきて


「リシュタイン様! 敵兵の襲撃です! 」


その声に皆反応して立ち上がった。エヴァンス以外。何故ならエヴァンスは既に寝息を立てている。その事に呆れながらもワルキュリアは


「私が迎え撃ちますので、皆さんはここで食事を続けていてください。」


そう言って金色の髪を揺らして微笑み、要塞の外へと向かって行った。ポポロはワルキュリアの言葉に安心して席に着いてスープを口にしたが、リシュタインは剣を腰に刺してワルキュリアの後を追った。


 外は草原が広がり月明りだけが草木を照らし、涼しい風が滑らかに揺らしている。ワルキュリアは剣を鞘から抜き四方から刺し掛かる殺気に構えた。普通であればこのワルキュリアの構えに近付こうとする者は居ない。しかし今ワルキュリアを囲んでいる者達は魔王軍不死兵軍のゾンビ兵であり、死を恐れる事は無くジリジリと間合いを詰めてくる。


そしてワルキュリアが息を吐くと同時に、ゾンビ兵達は走りながら襲い掛かってきた。ワルキュリアは目を細め


「死なないのであれば消せば良いだけです。」


「滅」


「獄」


そう呟き、剣技『滅獄』を放った。その剣撃により襲い掛かってきたゾンビ兵毎、直径200メートルの範囲を全て斬り刻み消滅さた。そしてワルキュリアは滅獄で空いた半径100メートルのクレーターの中心へふわりと降り、着地と同時に次の攻撃へと地面を蹴り飛び上がった。



 その瞬間にワルキュリアへ斬りかかる者が現れ、咄嗟に剣で受け止め後ろへと下がった。そしてワルキュリアは両手で剣を強く持ち構え直すと目を丸くして震えた。


 何故ならその目の前に居たのは幼き日に失踪して、今まで会うことの無かったワルキュリアの兄カイエル=ドラクルスであった。


「兄さん...... 。」


その言葉にも手を止めずにカイエルは鋭く長剣を振るいワルキュリアを襲った。ワルキュリアはその攻撃を剣で受け止めながらカイエルの目を見詰めた。カイエルは微笑み


「大きくなったな、ワルキュリア。しかし私は今、ウォルスカを勝利へ導くために雇われた身。手は抜かんぞ。」


「兄さん。その徽章は魔王軍の物...... 。あれから何が有ったと言うのです! 」


その言葉を聞いたカイエルは鍔迫り合いから切り離れ、ワルキュリアと間合いを取ると剣を空へ掲げた。すると地中からボコボコとゾンビ兵が現れ、上空からはゾンビドラゴンや地獄鳥が現れ、ワルキュリアは周囲を取り囲まれるとカイエルは瞬きする間も無くワルキュリアの懐へ入り剣を振りかざした。ワルキュリアはまたも剣を剣で受け止めとカイエルは


「私が常に斬り込めば得意の『滅獄』も使えないだろ。」


そう言うとワルキュリアの足は地中から這い出たゾンビ兵にしがみ付かれた。ワルキュリアがその足に意識をやると、カイエルは次の攻撃を行う。そして上空から、左右後方からもゾンビドラゴンや地獄鳥やゾンビ兵が襲い掛かって来る。流石のワルキュリアも防戦一方になったその時


「ワルキュリア殿! 助太刀します! 」


その叫び声と共にリシュタインと兵士一人、魔導師が一人応援に駆け付けた。ゾンビ兵達はそれに反応してリシュタイン達へと襲い掛かるが、魔導師が強力な炎魔法で焼き払った。その炎の中をリシュタインは斬り進みワルキュリアの足を掴むゾンビ兵の腕を斬り落とし、ワルキュリアはカイエルの攻撃を受けながらも移動した。


 ワルキュリアとカイエルは一騎討ちとなり、他のゾンビ兵達はリシュタイン達が応戦の状況となり草原は激しい戦地へと変貌した。







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