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自由の商人エヴァンス物語  作者: 橘 六六六
二章 -2ポンドゥロア大戦
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【30】滅獄




 エヴァンス達はウィスキネ領から飛び立ちエールリル領へと向かった。エールリル領はウィスキネ領からはジントリア領を越えた位置に在り、その途中にまだビアダル達は移動しているに違いないと考え、見落とさない様に低空飛行でエヴァンスとワルキュリア目を見張りビアダル達を捜した。


 ジントリア領に入り、これと言って危険な気配も無いがウォルスカ軍の襲撃には配慮してワルキュリアは立ち姿勢で攻撃体制を取りながら捜索を続けた。


「しかしこんな短時間で進めるものかね、そこまで。」


「訓練受けた者であれば更に進む事も有りますね。私でしたらまだ進めていますしね。」


「そうなんだな。」


エヴァンスとワルキュリアがそんなやり取りをしていると、森の先の山間部で激しい爆発が起こった。エヴァンスはポポロへその方向へ進むように指示を出し、その爆発が起こった方向へ向かった。近付くにつれて火薬の臭いが鼻に付き、戦場独特の空気が肌に纏わりつき出すとワルキュリアはポポロへ


「ポポロさん。速度を落としてください。ここからは私が走り向かいます。」


そう言うと荷台から飛び下り、モンパカ車よりも速い速度で走った。ワルキュリアは長い金色の髪を風に揺らしながらも、木々を避け素早く走り続けた。そしてその先の木々が途切れた川の流れる山間部岩場で、数百のウォルスカ兵に取り囲まれ銃撃を受けるビアダルとリシュタインがワルキュリアの目に入るとワルキュリアは身の丈程の剣を鞘から抜き構えながら走った。


 そしてウォルスカ兵が気付く間も無く、ワルキュリアの技『滅獄』を放った。滅獄は、滅獄のワルキュリアと言われる様にワルキュリア足らしめる技で有り、その技こそが全ての戦闘生物に恐れられる由縁であった。


 『滅獄』はワルキュリアから半径100メートル以内に有る物を全てワルキュリアの剣撃で斬り刻む技であり、全てに置いて例外無く『全て』を斬り刻む。つまりワルキュリアを芯とした直径200メートルの球状に全て斬り刻まれ消え去る。その消え去る事が『滅』であり、範囲直径200メートルの球が『獄』である。


ウォルスカ兵達は突如消えた直径200メートルに気付くのは半径100メートルのクレーターを見た時であった。そしてそれに気付いた時には自分達の近くにワルキュリアが居る。そして気付いた時にはワルキュリアは滅獄を放ち消え去る。ワルキュリアは三回の滅獄を放ちウォルスカ兵を数人残して全て消し去った。


 それに気付いた時に残った者は声も出せずに固まるしか無かった。それはビアダルとリシュタインも例外では無く、ただしなやかに歩み寄るワルキュリアに固まり続けた。その頃に遅れてエヴァンスとポポロが辿り着いたが


「なんだこの深く(えぐ)れている地面は、隕石でも落ちたのかよ? 」


とエヴァンスは驚いて言った後に、ポポロへビアダルとリシュタインの下へモンパカ車を近付けて貰った。エヴァンスとポポロに気付くとビアダルとリシュタインはやっと呼吸をして、ビアダルはエヴァンスに


「エヴァンス。初めて見たがワルキュリアさんは凄まじいな。」


そう言い。リシュタインは


「ワルキュリアさんへ手合わせを願った自分が愚かに思えました。」


そう言って震えていた。エヴァンスはそんな事も露知らずに


「よし。良いからみんな乗れ。そしてビアダルはどうしてエールリルへ単身で向かったのか訳を聞かせてくれ。」


そう言って、皆が荷台へ乗り込むとエールリル領へ向けて飛び立った。そんな事よりもビアダルとリシュタインは如何にワルキュリアの戦闘が凄かったのかエヴァンスに話すが、エヴァンスは見ていないので大して感心もしないのでやきもきしながら説明をするが、エヴァンスはやはり余り興味を示さなかった。





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