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自由の商人エヴァンス物語  作者: 橘 六六六
二章-1 ゲンシュタット帝国
32/109

【27】エヴァンスの金庫屋




◼️◻️◼️◻️




 バスキリア城を取り戻した日から数日経過してエヴァンスは新しく店舗を構えた。そこで始めたのは『金庫屋』と言う皆が聞いた事の無い商売であった。この世界では金貨、銀貨、銅貨と言った貨幣が中心で有るが、それは量が増えれば増えるほどにかさ張り、重くなりそこに不自由さを持っていた。そしてセキュリティーも万全では無いために泥棒や強盗被害も多く、そう言った事に不満を持つ者も少なくは無かった。


 そこでエヴァンスはドワーフの村に注文して重さ1トンを越える金庫をポポロの魔法で搬入した。エヴァンスはその金庫を町の大通りでハンマーで叩いたり、火を点けたりと頑丈さをデモンストレーションでアピールして


「この金庫を持つモンパカ交易に預ければ、貴方の資産が守られる。そして預ける事により金貨1枚ですと、1年間で銀貨1枚分の利息が付き、銀貨1枚預けると1年間で銅貨1枚の利息が付きます。」


とドルトリア国民へ触れて回った。ワルキュリアやポポロ、はたまたローバインですらこの商売が何なのかは理解できなかったが、エヴァンスのやる事なのでソッとしておく事にした。しかし、ローバインは経理の立場としてお金の動きを確認しようとエヴァンスに訊ねた。


「エヴァンスさん。この金庫にお金を預かる事が、どうやって利益を出すのですか? 」


「預かる事が重要じゃないんだ。集める事が大切なんだよローバイン。」


「と言いますと? 」


「預かったお金は投資に回すんだよ。価値が上がる物を買い取る資金や、返せる見込みのある人物に貸したりね。まあ、それと同時に面白い事が起こるから楽しみにしてな。」


そう言ってエヴァンスはローバインに書類の説明を始めた。


「ここの部分に預かったお金を書き込めば良いんだよ。」


「はあ、しかしこの赤い印は何ですか?」


「これは俺の親指の指紋だよ。うちの書類には全て俺の親指の指紋を押してある。指紋ってのは一人一人違うからね。これがうちの書類である証拠さ。そしてここに相手のサインと人差指のスタンプを押して貰う。この書類を預かる時に二枚作るんだよ。うちの控えとお客様の控えにね。」


「ほほう。つまりこの書類がお金を預かる証拠となる訳ですね。」


「そうそう。そこが重要なんだよね。まあ宣伝も終わったし明後日までには準備も終わるから飯でも食いに行こうぜ。」


そう言ってエヴァンスのモンパカ交易社のメンバーで市場の食堂へと出掛けた。そして昼食を取りながらエヴァンスは各々に会社のこれからの予定を話し始めた。


「とりあえず。ポポロとワルキュリアはコンビで輸送業務に当たって貰う。そしてローバインは人員の確保に動いてくれ。10人程人員を増やしたい。優秀で責任感の有る人間を2人、そのうち1人は輸送をやってもらいたいのでポポロの様な移動魔法が得意な人間を...... ああ、別に条件さえ満たせば人間じゃなくても良いぜ。そしてその他雑務に当たる人間を8人、それを午後からでも募集掛けてくれ。面接と合否はお前に任せるよ。俺はポポロとワルキュリアの輸送に付いていってポンドゥロア公国のビアダル公に用事があるから。頼んだぜローバイン。」


ローバインはエヴァンスに頼られた事が満更でも無く嬉しそうに訊ねた。


「畏まりました。してその人員の給金は如何程で募集しましょう? 」


「そうだな、優秀な2人は大銀貨5枚を週1回で、雑務に当たる人間は大銀貨3枚を週1回支払うよ。」


「その様に高給でしたら直ぐに集まると思います。」


「ああ、だからこそ人選をお前にしっかりやって貰いたくてね。」


エヴァンスの答えにローバインは頷き、食事を終えるとローバインは人員の募集に、ポポロとワルキュリアとエヴァンスはバスキリア経由のポンドゥロア公国入りの支度へと取り掛かった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] おお! ついに異世界金融の始まりですね! 楽しみです!
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