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自由の商人エヴァンス物語  作者: 橘 六六六
二章-1 ゲンシュタット帝国
30/109

【25】エヴァンス拷問




 エリザベートは兵士に問い掛けた。


「この者の申す、魔王軍魔獣軍団長ライオネルと言う者は存在するのか? 」


そう訊ねると、兵士長が前に出て


「はい。我がゲンシュタット兵が幾人もそのライオネルに殺されたと言う報告が入っております。」


そう敬礼しながらエリザベートへ申し上げた。エリザベートはまたエヴァンスへ顔を近付け


「して、貴様は何故にあの様な格好で城へ侵入をしたのだ? 」


エヴァンスは呼吸を調え、真剣な顔を作りエリザベートに答えた。


「はい。エリザベート様。その後にライオネルは『娘達と共に城主エリザベートの命も頂こう。』と言い出し。私はその時にうっかり物音を立ててしまい、ライオネルとやらの部下の魔獣に衣服を剥ぎ取られながらも命からがら逃げ仰せ。魔王軍魔獣軍団長ライオネルの目的である娘達を隠して、エリザベート様に身の危険を報せる為に兵を振り切りエリザベート様の下へ向かったのです。」


エヴァンスはすらすら出てくる自分の嘘に感心しながらも、エリザベートの顔色を伺った。エリザベートはエヴァンスから離れ


「それでは貴様は妾の命の恩人と言う訳じゃな。礼を言わねばなるまい...... 。とでも言うと思ったか! 」


そう叫んで、更にエヴァンスを鞭で打ち


「その様に酒臭い奴の戯言など信じられるものか! 」


とエヴァンスを数回鞭で打つと


「鋼の婦人を用意せい。」


そう言って、エリザベート専用の豪華な椅子へと腰を下ろした。すると懲罰房の別室から鋼鉄性の女性を型どった円筒形の丁度人が一人入れる物が運ばれ、二人の兵士がそれを観音開きで開けると中には無数の鋭い棘が張り巡らされていた。エリザベートは興奮した様子で


「この鋼の婦人は人の血を集める為に作られた物でな。棘が刺さり流れた血が下の台座に集まるように出来ておる。この拷問器具の良いところは直ぐには死なせずに三日三晩悶え苦しみ与えて血を流せるのだよ。」


そう言うとエリザベートは大笑いしながら拍手を繰り広げ、エヴァンスも固唾を呑み、自分の窮地を感じた。



しかしその時であった。



 エヴァンスが鋼の婦人へと入れられそうになる、その時にゲンシュタット兵が息を切らしエリザベートへ報告に上がった。


「エリザベート様! たった今、魔王軍魔獣軍団長ライオネルと名告る獣人が軍団を引き連れ西より、このバスキリア城へ攻撃を仕掛けております! 」


その報告にエリザベートは立ち上り口惜しそうに、エヴァンスを睨み


「この者の忠告は真実で有ったと申すか。全兵力を以て魔王軍を迎え撃てい!それまで貴様への刑の執行はお預けだ。」


そう言うとエヴァンスだけを残し懲罰房からエリザベートも兵士も立ち去って行った。緊急の事態に慌てて移動した為にエヴァンスの片腕を縛るベルトが外れており、ここぞとばかりにエヴァンスは全てのベルトを外して逃走した。


 魔王軍を迎え撃つ為に移動する兵士の目を掻い潜りながら屋上を目指して走り、何とか屋上へと辿り着いたが連絡する手段も無くエヴァンスは周囲を見渡した。すると目を掠める鋭い光が目に入り、目を凝らして見るとそこには望遠鏡でこちらを伺うハイボールが居た。そこでエヴァンスは羽織った旗を外してハイボールに向けて振ると、ハイボールはバスキリア城への旗へと火矢を放ちモクモクと煙が上り始めた。


 するとその合図を切っ掛けに魔王軍を迎え撃つ為に兵士が居ないバスキリア城へ、ジョージとそれに続いた反ゲンシュタットの民衆が流れ込んで行った。城はアッと言う間にジョージ達に制圧されてエヴァンスは何もせずに全裸のままゲンシュタット城の屋上で勝ち名乗りを挙げた。


△▼△▼


 一方、魔王軍を迎え撃ちに出発したゲンシュタット兵は帰る場所を失い統率が乱れ、散り散りに逃げ惑い他のゲンシュタット帝国の領へと消えて行った。兵士を失ったエリザベートは何も出来ずにジョージ達に取り抑えられる事となった。






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