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ドルトリア王族の招聘




 ガルボは渋々とエヴァンスに水を渡し、エヴァンスは水を一気に飲むとお代わりを注いでもらい。銀貨3枚をガルボに支払いテーブル席へと腰掛けた。ガルボはそんなエヴァンスを見て


「昔は本当に働き者で感心したもんだけど、時の流れってのは残酷なもんだねぇ。」


そう呟いていた。すると2階からワルキュリアとポポロが頭を押さえながらヨロヨロと降りて来たので、エヴァンスはこっそり宿屋から出て行った。そして宿屋の裏へ回るとポポロの飼っている2頭のモンパカが居た。モンパカはこの世界の動物でモコモコとした柔らかい白い毛と、極端に短い脚が特徴で睫毛が長く凄く優しい顔をした動物である。


 エヴァンスは懐かしいモンパカ達の顔を撫でると、モンパカ達はエヴァンスの事を覚えておりペロペロと彼の顔を舐め始めた。人間不信な彼にとってモンパカ達の行動は心に響き、涙が溢れるとモンパカは涙の塩気を求めて更に舐め始めた。エヴァンスは更に歓喜して


「おおー。お前達は俺の事を愛してくれるんだな。お前達だけだよ俺に優しくしてくれるのは。人間は裏切るけどお前達は違うよな。」


そう言ってモンパカ達と抱き合っている。エヴァンスは道端で野菜を売る農夫から人参を二本買うとモンパカ達に食べさせながら頭を撫でていると。遠目からポポロとワルキュリアとエリナの3人は悲しい者を見る目でエヴァンスを見ていた。その目線に彼は気付くと、この事を見られたことが恥ずかしかったらしく顔を赤くして走って逃げた。ポポロとワルキュリアはエヴァンスを追おうとしたが二日酔いで頭が痛くて諦めた。


 エヴァンスは自宅へと帰ると、昨日の酒もまだ残って居るので寝直す事にして、ベッドに入りそのまま眠りに着いた。昼過ぎに成ると彼は調子を取り戻してまたガルボの宿屋へとお酒を飲みに出掛け、いつもの如くビールを飲み始めた。エリナもガルボもその姿を見て呆れていると、またワルキュリアとポポロも現れてエヴァンスと同じテーブル席に着いて黙ってビールを飲み始め。エリナはそれを冷ややかな目で見ている。


 ガルボはそんな状況を呆れて見ていると、日頃見掛けない人間が店内へと入って来た。ドルトリア王国近衛兵の姿であり、重厚な鎧に身を包み宿屋内へと4名がエヴァンスを取り囲むと


「ウォーレン=エヴァンスだな。ドルトリア王族であるカモミール=ドルトリア様のお孫様にあたるダージリン=ドルトリア様の命により御同行願おう。」


そう言うと、近衛兵達はエヴァンスを抱えて宿屋から運びドルトリア王国の紋章が入った馬車に乗せそのまま立ち去って行った。エリナはワルキュリアとポポロに


「ダージリン=ドルトリアってどう言う事よ! カモミール=ドルトリアって言ったら『鋼鉄の貴婦人』と呼ばれ鉄壁の内政によってゲンシュタット帝国の侵攻を妨げた稀代の政治家よ。さそれに孫娘のダージリン=ドルトリアはカモミール=ドルトリアの再来と言われる程の恐れられている人なのよ! 一体エヴァンスは何をしたのよ。酔っ払って変なことでも仕出かしたんじゃないでしょうね...... 。」


そう言うと。ワルキュリアはそれを聞いて震えながら


「カモミール=ドルトリア様は恐ろしい御方です。」


と呟き、ポポロは


「ワタシもあの人には...... 。」


そう震える二人の様子を見て、エリナは心配になり窓から見えるドルトリア城を眺めていた。



▽▲▽▲▽



 馬車に揺られてドルトリア城へと連れられたエヴァンスは兜で顔も見えぬ近衛兵に囲まれて、酔っ払っている事もあり不満そうにしていた。そして


「なんの用だよ、こんな無理矢理な事してさ。そのカモノハシ=ドルトリアとダンジリ=ドルトリアがなんだってんだ。」


そう近衛兵に向かって言うと。近衛兵達は黙ったまま、そのまま城内へとエヴァンスを運んで行った。




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