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自由の商人エヴァンス物語  作者: 橘 六六六
二章-1 ゲンシュタット帝国
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【24】再会




 バスキリア亭ではキャサリン=バスキリアとジョージ=バスキリアの登場に人々は驚きを隠せずにいる。そしてキャサリンが続けて


「兄様の知り合いの金色の髪に裸の御方が私達を逃がすために、ゲンシュタット兵に捕まってしまいました。そしてここに兄様が居ると教えて頂き...... 。」


「裸? 何故に裸なのだ。」


「裸と言えばエヴァンスじゃない? 」


「エヴァンスならここで飲んで居ただろ? 」


「あれ? エヴァンスが居ない。」



「...... アイツまた酔っ払ってとんでもない事をしたぞ! 」


エヴァンス一行は大騒ぎとなったが、その場に居た皆が酒に飲まれて、騒ぎこそすれ動こうとはしない。そして


「とりあえず作戦会議だ。」


と酒を飲み始めて、キャサリンや町の乙女達の話しを聞きながら夜は更けて、次第に皆がそのまま酔い潰れていった。キャサリンはそんな中でもエヴァンスの事が心配になりバスキリア亭を出ようとしたがジョージはそれを止め


「エヴァンスは俺達に合図を出すまで待機する様に言ったんだ。それにお前達がここで出て行けば、またゲンシュタット兵に見付かり状況は悪くなる。部屋は空いてるからお前はゆっくり休め。」


そう言って二階の部屋へ乙女達を案内して自分も寝ることにした。



◼️◻️◼️◻️



 冷たい風が入り込み、頬に冷たい水滴が当たり目を覚ます。前日の酒が残り頭が痛いので頭を押さえようとすると手が動かない。エヴァンスはその状況を不思議に思い周囲を見渡すと、薄暗い中に松明が灯されている。そして頑強な石造りの部屋で自分が磔にされている事に気付いた。自分が何をしてこの様な状況に陥ったのか考えるがバスキリア亭でお酒を飲んでいた所までしか思い出せない。そこでエヴァンス


「おーい。誰かー。ここから出してくれ。水を飲みたいんだ。」


と大きな声を出した。するとそこへ鎧兜に身を包んだゲンシュタット兵が入って来てエヴァンスへバケツで水をかけ


「うるさいぞ。お前はここでエリザベート様の拷問が始まるまで大人しくしていろ。」


そう叫んだ。エヴァンスは顔にかかった水を舐めながら


「ありがとさん。できたらもう一杯水をくれよ。」


そう言って磔にされたまま二度寝に入り、その肝の図太さに兵士は呆れて懲罰房を後にした。それから数時間後また兵士が現れバケツで水を掛けてエヴァンスは起こされ、その後ろにはエリザベート=バルトルトが居た。真っ赤なドレスに身を包み片手には鞭を持ち、いきなりエヴァンスをピシッと素早く叩き、エヴァンスは堪らず悲鳴を挙げるとエリザベートは嬉しそうにしている。そして


「貴様は妾の大切な『生き血』を逃がしてくれたそうじゃの。妾は生き血の風呂に入る事でこの美貌を保って来たのになんと罪深い事をしてくれたものだ。」


そう言うと、もう一度エヴァンスの太股をバシッと鞭で打った。そしてその痛みに悶えるエヴァンスの姿を見て微笑み


「貴様は下品に裸で駆け回って居たそうだが、よく見れば中々綺麗な顔立ちをしておる。暫くは貴様の血で我慢してやらん事も無い。」


そう言うとエヴァンスの胸の皮膚をナイフで切ると、そこから滲む血を舐め始めた。エヴァンスはその時に


「貴女がエリザベート様でございましたか。私はこのバスキリアに来る途中に良からぬ噂を耳にしましてね。」


エリザベートはエヴァンスの顔を見ながら、胸から首筋に舌を這わせながら顔を近付け


「なんだ貴様は旅の者か、して良からぬ噂とは? 」


「はい。先日私はこのバスキリアの町へ来る為に、森を抜けて歩いて降りますと魔王軍魔獣軍団長ライオネルと申しますライオンの獣人が居り、多くの魔獣や獣人を率いて『バスキリアの地下には若い女を多数捕らえていると言う。明日の朝に我々で総攻撃を仕掛けてその女共を頂こうではないか。』と言っていたのです。」


そう言うとエリザベートは暫く黙り、エヴァンスの顔を見て後ろを振り向いた。



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