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自由の商人エヴァンス物語  作者: 橘 六六六
二章-1 ゲンシュタット帝国
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【22】バスキリアの自由へ




 今夜も昨日に引き続きダンドは機嫌良く、ジョージの隣に座りバスキリアの郷土料理バスキロアと密造酒を並べて


「お前さん達の事は気に入ったから、今日もたんと飲み食いしな。特にあんたは昔の王様、アーノルド=バスキリア様に顔が似てるから俺は気に入ってんだ。」


そう言うと、ジョージの肩に腕を回してジョッキに酒を注ぎ乾杯して無理矢理飲ませ始めた。ジョージも尊敬する父のアーノルドに似ていると言われて嬉しくなり勧められるままに酒を飲み始めた。エヴァンスはヤレヤレと言った表情をして


「お前等、飲み過ぎんなよ。」


と忠告するとジョッキを傾け、バスキロアのスモークチキンを口にした。少し飲み始める酔ったポポロが涙しながらジョージの肩に手を当てて


「ホントはコイツ良い奴なんだよ。」


と昼の子供達への対応を話し出すと、ジョージは照れ臭そうにしたが、ワルキュリアやエヴァンス、ハイボールやダンドまで涙して


「お前は良い奴なんだな。」


「バスキリアの救世主だよ。」


「アーノルド2世はあんただよ。まあ飲みな。」


とジョージへ酒を勧める。そしてエヴァンスも酒が進み、その反面に飢えで苦しむ子供に、国に抑圧されて活力を失っていく国民の不自由さを思い


「やっぱさあ、不自由はいけねえよ。人間ってのは自由じゃねえと。」


そう呟いて、その声に皆思いを持ち頷いて酒を飲み続け、エヴァンスはダンドへ大銀貨1枚を渡すと


「もっと酒と料理をくれ。そして外に飢えた奴が居たならソイツ等も一緒に良いか? 」


そう言って更に大銀貨を1枚ダンドに渡した。するとダンドは親指を立てて店の外へと出掛けて行った。


 暫くするとダンドは両手に荷物と、後ろにバスキリア帝国復活を望む国民がぞろぞろと付いて来て宿屋バスキリア亭は満杯となり。皆、料理と酒を口にしてこの酒盛りは多いに盛り上がる事になった。そして口々にだされるゲンシュタット帝国とエリザベート=バルトルトへの不満がピークに達した頃に、エヴァンスは服を脱いでジョッキを掲げ


「我々の自由は如何なる物にも屈してはならない! 今から俺がエリザベートを懲らしめてやるからお前等は楽しみにしていろ! 」


そう高笑いをすると、テーブルから飛び降りてそのまま店を走り去って行った。店の中ではその言葉に大いに賑わい、誰もエヴァンスが店から出ていった事に気付いていなかった。


 エヴァンスは一人全裸でバスキリアの夜の町を駆け抜けていたが途中で立ち止まり


「顔がバレるのはマズイよな。」


そう言うと、塀に掲げられたゲンシュタットの旗を外して千切りマスクを作って顔を隠し、残った布をマントの様に羽織るとバスキリア城へと向かった。しかしバスキリアの町はエリザベートによりゲンシュタット兵が張り巡らされており、金髪の全裸の男は直ぐに兵士に気付かれてしまい。多くの兵士に追い掛けられた。全裸のエヴァンスは兵士に追われている事に気付くと酒の力も手伝ってテンションが上がり笑いながら走り抜け城へと向かい、エヴァンスを追う兵士の数は軍勢となっていた。


 しかしエヴァンスは更に笑いながら速度を上げて走り、鎧姿の兵士では追い付かずに城門へと到達してしまった。追い掛ける兵士は慌てて門番へ


「変質者だ! 急いで門を閉じよ! 」


そう叫んだが間に合わず、門番はエヴァンスに飛び掛かるがエヴァンスはそれを飛び越え遂に城の中へと笑いながら入って行った。そして城内の兵士からも見付かりエヴァンスは城の中を兵士から逃げながらエリザベートの部屋を探した。


 気付けばエヴァンスは地下へと潜り込み、そこは牢獄となっており若い娘達が囚われの身となっていた。エヴァンスは牢を守る兵士に近付くと


「ツーベースヒットー! 右中間抜けたー! 」


と叫び思いっきり頭を棍棒でフルスイングした。兜の上からと言えど一溜りもなく兵士は失神し、その事に気付いたもう一人の兵士がエヴァンスに近付くと


「ヒットエンドラーン! 」


と叫んで、もう一人の兵士も殴って失神させた。







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