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自由の商人エヴァンス物語  作者: 橘 六六六
二章-1 ゲンシュタット帝国
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【17】バスキリア領到着




 ゲンシュタット帝国ワルシュク領へ到着しドルトリア王国からの観光で受付を済ませて一行は門を潜りワルシュクの街へと入った。ワルシュクと言えば以前ドルトリア王国で出会ったルナフレア=ゲンシュタットの事をエヴァンスは気にしていたが、今回の目的はバスキリア奪還と言う事もあったのでそこから足早に一行はバスキリアへと向かった。


 この様に迂回したのはポンドゥロア公国とゲンシュタット帝国は交戦中であり入国が厳しいために、休戦和平協定を先日に結んだドルトリア王国からの入国は容易であった為である。エヴァンス一行はワルシュク領の北門からゲンシュタット帝国内へ入ると、またモンパカ車を飛ばして直ぐにバスキリアへと辿り着いた。


 例の如くバスキリア領へ近付くとモンパカ車を下ろして街道を走り門からバスキリア領へと入った。この手法であればワルシュク領からの入領と言う事もありエヴァンス一行は簡単にバスキリアの街へと入れた。


 変装して帽子を深く被ったジョージは、久しぶりの母国に涙を滲ませていた。掲げられた紋章と街のあちらこちらにゲンシュタットの兵士がウロウロしている事を除けば街並みや木々は昔と変わらずにモンパカ車の荷台でジョージは懐かしさに浸っている。


「とりあえず陽も落ちて来たし、今日は宿屋へ泊まるぞ。」


エヴァンスはそう言うと街の端に在る古ぼけた宿屋へと泊まる事にした。


 宿屋はガルボの宿屋の様な木造二階建ての建物であるが、余り掃除は行き届いておらずに小汚ない感じであった。店の受付には髭面の小肥りの禿げた親父が立っており会計を済ませる男性陣と女性陣で二部屋に別れて宿泊した。各々が荷物を置くと男性陣の部屋へと集りこれからの作戦を立てる事にした。



 エヴァンスが中央へ立ち司会を進め四隅に在るベッドへ各々が座りエヴァンスの話しを聞いた。


「大まかな作戦は頭の中に有るが、実際の所では俺はこのバスキリアの事を余り知らない。そこで明日は1日このバスキリア領の踏査に当たる事にした。今回の作戦は命が懸かっているので作戦の他言は死に繋がるので飲酒は禁止で行く。」


エヴァンスがそう言うと、ワルキュリアとポポロは凄くガッカリとした顔をした。そんな事も気にせずにエヴァンスは話しを続け


「とりあえずこの作戦の話しは絶対に外で漏らさない様に。まず、ワルキュリアと俺でこのバスキリアの外を明日確認してくる。その間にポポロとジョージとハイボールは街の中でエリザベート=バルトルトの評判や街の状勢を調べてくれ。」


そう言ってポポロに金貨1枚を指で弾いて投げ、ポポロはそれを受け取り頷いた。そうするとハイボールは手を挙げて言った。


「それだったら、オレは狙撃ポイントや城の周りを見て回りたいから単独で調べさせてもらって良いか? 絶対にボロは出さねぇからよ。」


「そうだな。3人だと目立つしそれの方が隠密に動けるならそうしてくれ。」


エヴァンスはハイボールにそう返事して大銀貨を1枚親指で弾いて渡した。ジョージはそんな中で真面目な顔をして


「久しぶりに俺はこのバスキリアを見たが、俺が治めていた頃にはもっと国民は生き生きとしていた。俺はこのバスキリアをどうしても取り戻したいが、戦いもせずに本当に大丈夫なのかよ? 」


その言葉にエヴァンスは


「それは安心してくれ。単純な話しで言えばワルキュリアを城に乗り込ませて暴れてもらうだけで取り戻せるが、俺達の存在がバレたくないから回りくどい事をやっているだけだ。しかしいざと為ればその手段も吝かでは無い。」


そうエヴァンスが言った所で、ドアをノックする音がした。そして宿屋の親父がドアを開け


「お客さん晩飯だ。下へ来な。」


そうぶっきらぼうに案内した。エヴァンスは皆へ


「この話しはここまでだ。食事中には話さないように。」


そう言って宿屋の一階へと食事に向かった。




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