表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自由の商人エヴァンス物語  作者: 橘 六六六
二章-1 ゲンシュタット帝国
21/109

【16】ゲンシュタット帝国へ出発




 エヴァンス達はポポロのモンパカ車へと集り、ゲンシュタット帝国へと向かう準備をしていた。ジョージはモコモコして脚の短いモンパカのつぶらな瞳を見て顔を撫でながら


「なんだこの動物は、なかなか可愛いじゃないか。」


そう言ったので、エヴァンスとポポロは声を揃えて


「コイツ意外と良い奴だな。」


と呟いた。そしてエヴァンス達の出立に公爵達も駆け付け、ビアダルとアレキサンダーと握手を交わして激励した。その中でミスティーもエヴァンスへ幸運を呼ぶブレスレットを渡し応援した。そこへ遅れてロブロイが現れ、隣に如何にも80年代のヤンキーの様な格好の太った男を連れている。そしてロブロイは


「ジョージお前はバスキリアの王になったとしても俺のダチだ。コイツはハイボールと言ってウィスキネ領で一番の弓の名手だ。きっとお前の役に立つから連れて行きな。」


そう言ってハイボールと言う男を紹介した。ハイボールはジョージの前へ出てくると


「じ、自分、ハイボール=アルテミスって言うっす。弓には自信があるんで、か、必ずお役に立ちます! 」


そう挨拶をしているが、異常に顔が近くてジョージは困惑していた。しかしロブロイの好意で紹介されたので笑顔を作り


「あ、ああこちらこそよろしくな。」


と答えた。エヴァンス一行はそのハイボールの体型を眺めながら


(どん臭そうなヤツが来たなぁ。)


と心の中で呟いた。そして出立の時間となり、一行はポポロのモンパカ車の荷台にブランドール領のブランデー樽と供に乗り、一度ドルトリア王国へと飛んだ。初めてのモンパカ車飛行にジョージとハイボールは驚きを隠せずに


「可愛いのにスゲーなコイツ等。」


と口にしていた。例の如くモンパカ車はアッと言う間にドルトリア王国へと辿り着き、エヴァンス一行は酒屋へブランドール産のブランデーを卸すと、そのままゲンシュタット帝国ワルシュク領へと飛んだ。



 エヴァンス一行はワルシュク領付近で森に囲まれた街道へと下り、普通の馬車の様に地面を進んで行った。エヴァンスはポポロの隣に座り


「俺とポポロはこのままで良いけど、後ろの面子は着替えを乗せてるからそれで変装しな。特にジョージとワルキュリアは有名過ぎて目立つと作戦が台無しになってしまう。」


そう言って荷台の革袋を指して指示を出した。ワルキュリアは指示に従い革袋から服や靴や装飾品を取り出してジョージとハイボールにも服や付け髭や帽子を渡した。そしてワルキュリアは人目も気にせずに鎧兜を脱ぎ下着姿になったのでジョージは目を逸らし後ろを向いて着替えたが、ハイボールは食い入る様にワルキュリアの着替えを見ていたのでジョージは


「コラッ。ハイボール。紳士らしからぬぞ。早くお前も着替えろよ。」


そう注意すると、ハイボールは渋々後ろを向いて着替え始め、森を抜ける頃には3人は着替えを終えてまるで別人となっていた。ワルキュリアはミスティー=ジントリアに服を用意してもらったらしく、胸元の開いたドレス姿で髪飾りを着けると元々高伸長でスタイルも良い上に艶やかな金色の長い髪が輝き気品を見せた。それを見たジョージとハイボールはワルキュリアの見違えた姿に溜め息を吐いたが、エヴァンスはポポロの肩を叩いて


「見ろよポポロ! あの乱暴なワルキュリアがめっちゃ上品になったぞ! 」


とポポロと二人で爆笑していた。ワルキュリアは何だか腑に落ちない顔をしていたが、ジョージは


「いやぁ、美しいよワルキュリア。衣装一つでここまで変わるとは。」


と、昔の事を忘れた様にワルキュリアの事を褒めちぎった。ワルキュリアもその言葉に満更でも無く照れ臭そうに髪を弄りながら微笑んだ。その姿はまるで王室に出入りする淑女の様で、とても滅獄のワルキュリアと恐れられる人物とは思えなかった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ