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自由の商人エヴァンス物語  作者: 橘 六六六
二章 ポンドゥロア公国王位選挙
18/109

【13】エヴァンス好き勝手




 エヴァンスの言動に呆気に取られ、男性の裸に免疫の無かったミスティー=ジントリアは


「は、はい。」


と白い肌の頬を赤らめながら、エヴァンスの隣に座りエヴァンスが差し出したグラスにグラスを乾杯して飲みながら、エヴァンスの裸をチラチラ見ていた。しかしそれを不快に思ったロブロイ=ウィスキネは


「おい! こら! そこのエヴァンスだか何だかの変質者! ここはポンドゥロア公国の公爵が集う場だぞ。その言動と格好は不敬だろコラァ! 」


そう怒鳴るとエヴァンスは、飲みながら振り向き


「この格好を不敬だとは浅識ですな。古代ガルドニア王国では、一糸纏わぬ姿で酒を飲む事により敵意の無い様を表し、絶対降伏を意味する最上級の礼とされたんですぞ! 」


そう立ち上りロブロイに語気を強めてポーズを取り言った。ビアダルはリシュタインと


「そうなの?」


「いえ。私は知りません。」


そんなやり取りをしていると


「うるせーぞ! お前等! 男の癖にグチグチグチグチと...... 。良いからお前等も飲めよ。次ぎはウチが持ってきたジンを飲むぞ! 座れ! アレキサンダー! 」


と怒鳴り出す者が居た。それは黒髪の令嬢ミスティー=ジントリアであった。それを見てビアダルは


「そう言えばミスティーって酒乱だったね。」


その言葉にアレキサンダーは主催の立場を毅然と守る為にも


「そうですねミスティー公、今宵の宴を楽しみましょう。」


と笑顔でミスティーの隣に座りグラスを呷ると、ミスティーは上機嫌に


「良いぞアレク! 飲めよ歌えよ! 」


と言い、ボトルからアレキサンダーのグラスへ酒を注いだ。ビアダルもその光景に諦めを見せ


「リシュタイン。我が領のビールを持ってきてくれ。皆の衆、それでは是非エールリル領のビールも御賞味あれ。」


そう言いグラスにビールを注いで皆に配り始めた。エヴァンスはワルキュリアを睨み続けるジョージに気付き、フラフラと近付いて


「あんたバスキリア帝国のジョージ皇子だろ? ワルキュリアこっちおいでー。」


そうワルキュリアを呼ぶと、ワルキュリアに


「こちらはお前が間違って滅ぼしたバスキリア帝国のジョージさんだ。お前ちゃんと謝ったか? 」


そう言うと、ワルキュリアはジョージ=バスキリアの顔を見て、気まずそうにモジモジし始めた。そしてジョージは積年の恨みのワルキュリアを目前にして苛立ちを見せ


「国を滅ぼされて謝罪だけで許されると思うな! 」


と怒鳴り声を上げ、その声に会場は凍り付きジョージの方に注目した。しかしエヴァンスは動じずに


「許される許されないは別にして謝りなさいワルキュリア。」


そう言うとワルキュリアは申し訳なさそうに頭を下げて


「私はとんでもない取り返しのつかないことをしてしまいました。ジョージ様、本当にすみませんでした。」


謝ると、ジョージは苦虫を噛み潰した様な顔をして拳を握りワルキュリアの頬へと放った。そしてワルキュリアは涙ぐみ


「すみません。」


と再度謝った。するとエヴァンスはジョージを引き倒して顔面に跨がり


「泣いて謝る乙女の頬を殴る馬鹿がありますか! そんな奴は世間なんて見えてない。あー見えてないね。そんな奴は俺のブラックホールでも見て暗闇に呑まれてなさい! おい! ミスティー。お前の自慢の薬酒ジンをくれ! コイツの腐った臓腑を治療してやる! 」


「はい! 畏まりましたわエヴァンスさん。」


とエヴァンスはミスティーからジンを受け取り、立ち上がるとジョージの口にジンを流し込んだ。


「ブハッ。なにをひゅる。」


とジョージはジンを吐いたが、既に酔ってしまいビアダルはエヴァンスとジョージにビールの入ったグラスを渡して


「コラコラ二人ともアレキサンダー公の粋な酒宴の興を削ぐなよ。」


と言い乾杯してビールを飲み干したので、エヴァンスとジョージも乾杯をしてビールを飲み干した。



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