【101】囚われても元気です
エヴァンスは全裸のままでワルシュク城の地下牢へと投げ込まれた。しかし酔っ払っていた為に気持ち良さそうな顔で寝ているので女騎士達はなんだかイラッとしてエヴァンスに唾を吐いて鍵を掛けて戻って行った。
暫くするとエヴァンスは目を覚まして、周りを見渡すと鉄格子の牢の中へ入れられている事に気付いた。そしてたらふくと酒を飲んで居たので、物凄く尿意に襲われたが周りを見てもトイレが無かった。エヴァンスは檻をガンガン叩いて
「おい! トイレはどこだ! ここから出せよ漏れそうなんだよ! 」
そう叫ぶと、他の囚人達が目を覚まして
「夜中にうるせーぞ。勝手に漏らせよ。」
「元気な新入りだな。」
「ほう若い兄ちゃんが裸でいるぞ。可愛がってやるからこっちに来いよ。」
「へへっ。どうせ殺されるんだから静かにしな。」
その様に暴れるエヴァンスへ声を掛けて笑っていた。エヴァンスはその囚人達の偉そうな物言いに腹が立ち
「牢屋の中で何を偉そうにしてんだ。俺は今すぐにオシッコがしたいんだよ! 」
「漏らしなよ、ぼくちゃん。」
「お前のションベンなんか知るかよ勝手にやれよ。」
とエヴァンスの言葉に煽りを返した。エヴァンスはいよいよ尿意と苛立ちに、檻の隙間から勢い良くオシッコを放ち他の囚人目掛けて撒き散らした。
「ほほー。今夜は大量に飲んだからよく出やがる。俺をバカにした報いを受けやがれ! 」
「うわっぷ。やめろ! お前! 」
「うわー! 貴様牢屋は風呂が無いんだぞ! 」
「まだ出やがるのか! ウプッ。」
「まだまだ出るぞー! 罪深いなぁー。」
そして出し終えるとエヴァンスは反撃されるといけないので他の囚人達から一番遠くの壁際で眠りに着いた。他の囚人達は怒って罵声を浴びせるがエヴァンスはピクリとも反応せずに眠っていると他の囚人達は更に大声を出して怒った。
すると大声を聞き付けた屈強な化粧をした男の看守が現れ鞭をペチペチと鳴らして
「あなたたちー。こんな夜中に騒ぎを起こすなんてイケない坊やたちだこと。あらやだー、ビチョビチョじゃない。クサッ! 」
「いや、これは俺達じゃ...... 」
「そうだ! そこの坊主が! 」
「違うんですよ看守さん。」
「お黙り! 新入りはずっと寝てるじゃないの! 他人のせいにするなんてイケない子ねー。可愛がってあげるわー。むふふっ。」
「いやだー! 」
「うわー! やめてー! 」
「ああん、。」
「ひゃー。ひぃひぃー。」
と反抗できなくなるまで痛めつけられると、看守は厚い胸板に生えた胸毛を擦りながら満足げに頬を赤らめて帰って行った。
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エヴァンスが次に目を覚ますと、他の囚人達は寝ているのか気絶しているのかグッタリとしていた。エヴァンスは気の毒そうに他の囚人達を眺めていると入り口から、ワルシュク幻月騎士団の女騎士達が入って来てエヴァンスの牢の鍵を開けてエヴァンスに服を着せて、両手に革の手錠を掛けると
「これよりルナフレア=ゲンシュタット様による尋問を行う。大人しくしろ。」
そう言ってエヴァンスを地下牢から連行していった。エヴァンスは移動中に自分を連行する女騎士達へ訊ねた。
「なあ、ルナフレア=ゲンシュタットって言ったら氷の令嬢と呼ばれている。あのルナフレア=ゲンシュタットか? 」
「...... 。」
「なあ。なんとか言えよ。」
「貴様の出来る質問など無い。」
そう言ってまた女騎士は黙り込み。黙々と歩いて石造りの個室へと入れられた。すると昨晩エヴァンスを捕らえたフランポワーズが立っており、エヴァンスの膝の裏を鞘を付けた剣で殴り膝まづかせた。そしてエヴァンスの金色の髪を掴み頭を上げさせると顔を近付け
「これよりルナフレア=ゲンシュタット様の尋問が始まる。嘘偽り無く答えよ。」
そう言って、フランポワーズはエヴァンスの髪を掴んだまま入り口を向い姿勢を正した。




