とある一日の一幕
『私はついに特殊能力を身に付けた!それは!即効性の毒を判定する能力さ!いいか!俺を見てろ!』
「ペロっ!はっ!こry」
バタッ
『俺が倒れたら即効性の毒だ!』
「ちょ!何してんすかリーダー!それ特殊能力じゃないっすよ!誰か魔法医呼んで!またリーダーが馬鹿やらかした!」
ダダダッ
「オイコラまたか!………………なぁ、こいつ仕事は確かだけどさ、もう解雇しちゃダメか?」
「いやマジ一人で同時に十人分はコイツの腕ありますし、それでようやく回ってますしッ!」
「くっそがぁああああ!こんな事しなきゃ給料増やしてやるのに!」
平和である。尚、リーダーは無事だった。真似はしないように。
チリン。
涼しげな音と共にドアが開閉する音。
キ…ィ。カチャン。
閉まる音。…
「…おいおい、まだ開店前だ、準備ちゅ…」
俺は、ドアの開閉音を聞き準備していた腕を止めず顔だけドアの方を向きながら言おうとしたが…何故か最後まで言えなかった。
黒いコート、細く、黒いチェックの入った赤のフレアスカート。黒いハイヒール。白いマフラー、目深に被られた帽子…。そして、帽子から伸びる紅い、血のように真っ赤に染まった整えられたロングの髪。手入れが行き届いているようで、かなり長いのに整っている。
「よォ、久しいナ」
…声の主は女性なのか、声がシャープ。しかし…女性だから高いというより、そもそも変声期を迎えているかすら疑いたくなるような声だった。…その癖して綺麗だし。
…久しい?俺の記憶にゃ何処にもこんな声が綺麗なのにシャープな上で…街中で声掛けてたら捕まるような身長の友達はおらん。あれれぇ、おっかしぃぞー??…どうすんねん、これどーすんねん。
「あー、お嬢ちゃん、人間違いじゃないか?」
と、とりあえず声掛けたら…
「…ン?」
距離を瞬間で詰めた嬢ちゃんがーストレート。
「ッーシッ!」
距離を詰められ反射的に構えていた手をストレート途中の手首に当てて軌道をずらしてガード。
が。
パァンッッ!!
「げぶっ?!」
弾いたストレートがバネ仕掛けの如く戻ってきてビンタ。
「おっト、危なイ。」
で、後ろに反動でおされたところでカウンターにぶつかり掛けたのだが…寸前で障壁で地面に叩きつけられる。
グワシッ。
「おいコラ待てやオイ」
背後を取って、頭を掴む。今オマエ物理法則無視したろ。俺?転移魔法使ったわ。
「なんダ、謝罪なら貸しだからいらんゾ」
とか、平然と言いやがる。
「よくいけしゃあしゃあと言えるな、てっきり今ので返しどころか貸しだと思ってたんだがな?」
と、お返しに突く。
が…
「ハッ、カウンター守ってやったロ。忘れたらだめだゾー」
守って…やった?
ちょっと怒った。
「お前は変わらんなぁ。育ってないな。つかむしろ悪化して」
ゴッ…
「が…ふっー」
息が一瞬出来なくなった。
「言葉は慎メ」
と、腹に向かってその場から直角飛び膝蹴りをキメた幼女。
「…いろいろと不利で理不尽じゃね?」
と、即座に回復した俺。
「少なくとモ、女性に対してデリカシーのカケラもない奴に有利はないナ」
と、バカ。
「さいですか。」
今日から忙しくなりそうだと思う俺だった。
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「クッソがぁああああああああ!!」
ガシャアアアン!
「てんちょォオオオオオオ!!」
イライラした店長は机をひっくり返したのだった。
今日も平和である。