二度と会えなくなる恐怖
ふと思う。
この人とはもう二度と会わないんだろうなということ。
小学校の頃のクラスメイト。中学の美術の先生。高校時代通っていた予備校のビルの一階に入っていたローソンの店員さん。大学生になって少しの期間バイトしていたカフェの店長、とかとか。
いま身近に感じている人たちだって、数年先にはそのように思っているかもしれない。それがとてつもなく怖い。
例えば、通っている美容院。いつも担当してくれるお兄さんがいる。物腰柔らかで、美容師さんにしては珍しく無造作な感じの人。
最近は世の中にも、自分にも落ち着きがなくてなかなか足が向いておらず、疎遠になりつつある。そうこうしているうちに、彼に転機が訪れて、別れを告げぬまま去っていくかもしれない。
そうなったら、いくらSNS社会になったとはいえ、もう連絡をとることもないだろう。私たちの間を繋ぐのは、髪を切る・切られるということだけだったのだから。
最近密かに楽しみにしていたSNSのライブ配信が、ある日からぱたりと途絶えた。彼らとは実際には会ったことがないはずなのに、毎週配信していた曜日がくるたびに、胸の奥がせわしなくなる。
会ったことのない人でさえ、この有り様である。いったいこれから何度、こんな経験をしなければならないのだろうか。今後は、身近な人がもっと遠いところに行ってしまうことだって起こるだろう。
スケジュールがいろんな「命日」で埋まっていく未来に、ただただうちひしがれる。部屋では、換気扇が回る音だけが、途切れることなく鳴り続けている。




