表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【2万pv突破】東京アレルギー  作者: 晴後くもり
6/264

炙り白子

白子を炙ったものを食べた。


白子。そのままでもミルキーでクリーミーで美味しい白子。ミニブドウのようにふさになっていて、外側の薄皮はぷちっと弾ける。中からは濃厚でコクのある味わいが口にひろがる。


その素材型の型ともいえる白子を炙ったものがメニューに載っていた。


かねてから、素材型と呼ばれる選手は、コーチの経験則に基づいた、古風な指導によって幾度となく、陽の目を見ぬまま引退していった。


ああ、またこのパターンかと。余計な匠の遊び心で、ひとつの才能を潰してしまうのかと。思った。だが、それならば、私くらいは食べてやろうと。せめて、ポテンシャルを知る私こそが実食し、正当に首脳陣を批判してやろうと、そう思った。


メニューから、炙り白子ポン酢を注文する。


物腰の柔らかな店主が、5分も経たないうちに、料理を運んできた。


香ばしさが鼻を通して食欲をかきたてる。まあ香りはそりゃあ、熱すると立つ。至極当然のことだ。この程度で面喰らってはいけない。


日本酒の熱燗を少し口に含んでから、白子を橋で摘む。ぷりぷりで、これ以上強く摘むと弾けてしまいそうだ。あまりの香り高さに飲まれそうになるが、えいとその心を鎮め、真っさらな気持ちで舌に乗せる。


次の刹那、人間の感覚器全てに訴えてくる旨味が全身を駆け巡る。後頭部の右側がすーっと開いていく感覚を覚える。うまい。うまい。うまい。


炙り白子おいしゅうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ