穴子のごぼう巻き
休日、阿佐ヶ谷周辺を歩く。
総武線に揺られていく。
阿佐ヶ谷には商店街があって、その名の通り商店が立ち並んでいる。いるが。いるのだが。
商店街にチェーン店が並んでいると強烈な違和感がある。個人商店がスクラム組んでやってこうっていうのが商店街だと思っていて、チェーン店ならイオンひとつで足りてしまうわけで。
歩いた。商店街(チェーン店入り)を。
途中、「穴子のごぼう巻きあります」の売り文句をみつける。
穴子のごぼう巻き…?
気になる。
アスパラのベーコン巻きは、アスパラにベーコンが巻いてあるものだ。
穴子のごぼう巻きは?
ごぼう、は、巻けるのだろうか。
もしかしたらわたしが知らないだけで、湯につけておくと緩々とふやけてほどけていくのではないか。
頭の中で、穴子の周りを、ふやふやになったごぼうで巻いていく。ごぼうに巻かれていく穴子。どんな気持ちなんだろう。
え、ぼくやりますよ。ごぼうさんは寝ててくださいよ。
と適材適所を訴えるのではないだろうか。
帰国子女の彼が国語科を教え、英検2級の彼が英語を教えているような、そんな気持ちがする。
どうしても頭から離れなくて、引き返して実物を見やる。
ごぼうに穴子が巻かれていた。
なんだかほっとしたような、心持ちになった。すこしがっかりもした。