あなたは変な思い切りのよさがある
ペーパードライバー講習に行ってきた。
ペーパードライバー講習とは、自動車教習所において長く運転から遠ざかっている人向けに設置されているコースだ。久しぶりの運転の前に感覚を取り戻したいという需要に見事に応えている。
かく言う私も大学卒業後に上京して以来8年もの間 運転していなかったので、まさにこの対象であるペーパードライバー(ペーパーの中でもさらに弱い、水に溶けるトイレットペーパーくらいかもしれない)だったのだ。
講習では存外早く感覚を取り戻すことができ、路上でも大きな問題なく運転することができた。駐車の練習も重点的に行えたので、とても自信につながった。
教習所といえば、免許を取った8年前の当時、教官から言われた言葉がずっと頭に残っている。
「あなたは神経質で慎重に運転する割に、咄嗟の時に変な思い切りの良さがあるから気をつけなさい」
思い当たる節は多々ある。それは運転中もそうだが、人生においても。結構勢いに任せてアクセルを踏んでしまう時がある。
咄嗟の時って、自分でも思ってもみないような行動をしてしまうから怖い。そしてそれは客観的に見ると可笑しいと気がつけるのに、動いている時には気がつけないのが厄介なのだ。
今朝は、他人のそういうところをみた一幕があった。
小太りの青年が通勤ラッシュの階段で、口の開いたカバンからコンビニおにぎりを3つボロボロっと落とした。2つは掴めたもののもう一つが中々掴めない。後ろから人波が迫っている。
その時何を思ったのか、咄嗟に足元のおにぎりを大きく前に蹴り出した。後ろにスペースを作ってから、余裕を持って拾い上げたのである。
おにぎりを蹴り出せる思い切りの良さ、切羽詰まった時にしか出ないアイデアだったように思う。