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住み替え
住居の住み替えをした。より郊外の方へと移った。部屋のグレードを上げて、立地のグレードを下げた形だ。
引っ越しの日の非日常感は、台風の日のそれよりも大きい。これから始まる新生活の期待と不安、そして名残惜しい部屋との別れ。情報量も多いし、感情も揺れ動く。
引越し屋の青年たちは、みな気さくで気持ちのいい仕事をする連中だった。締まった肉体を白のポロから覗かせて働く姿は、いかにも健康的であった。
部屋中を埋め尽くす段ボールを幾つか片付けて、生活の隙間ができてきた。まだ新しい部屋の配置に慣れておらず、日常の所作が身体に馴染んでいない。
今日からまた仕事。日常。
行く途中、畑には薄らと霜が下りていた。