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身体を労わる
身体と対話する時間が減っているなあと思う。爪が乾燥していたり、股関節が開きにくくなっていたり、足の裏が硬くなっていたり。
本当なら毎日湯船にゆっくり浸かって、一日の働きを労うように身体のいたるところに触れていくのがよいと思っている。だが、仕事に忙殺されて、あるいは忙しさにかまけて、サラッとシャワーだけで済ましてしまったりする。
蔑ろにしていた身体を悦ばせるために、身体に染みそうなものを食べようと思った。要はご機嫌とりである。
寒くなってきたので、脂ののった鰤を二切れ、ずっしり重い大根を一本、買った。
レシピに則って手際よく醤油やみりんなんかを注いで、煮詰めて、皿に盛る。実際のところは、手際よくなく、もたつく。
大根は満月のまま煮詰めると、優しい風合いに色づいた。鰤は箸で摘むとほろりと溢れる。仕上げに小葱を散らすと、彩りにアクセントがついて綺麗。
この日ばかりは缶ビール(第三ではなく)をいただく。身体を労われたかどうかは、知らない。




