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ひとり夜歩く。
気温がぐんと下がって、出歩くと肌寒い季節になった。明日は雨が降るらしい。
窓辺に置いた豆苗がぐんと伸びて、青々としている。これを刈り取って、明日の夜は鍋にしようと思う。鮭と豆苗の石狩風鍋。しめは雑炊にする。
日が変わる前に何かを見つけたくなって、家を出た。何かというのは自分でもわからない。どこまでも遠くへ行ってしまいたくなった。
湿度を含んだ夜の風が頬に当たってひんやりする。大通りは街灯がいくつもあって眩しいくらい。こんな時間でも何台もの車が行き交う。
車があれば、夜中にどこまでも行ってしまえそうな気がする。トンネルをくぐったり、海岸線を走ったり、小高い丘へ上ったり。夜通し高速を走り続けるのもいいだろう。
でも私には車がない。から、ただ歩く。何かを見つけるまで、ただ歩く。