144/267

捨てられない

長く書きすぎてしまうきらいがある。

いざ書いてしまうと、今度は変な愛着が湧いてしまって、消せなくなる。

最初はそんなつもりなくって、なんだったら長い文章を書くのは不得手な方で、だから書く前は、数行で終わってもいいかな、なんて思ったり。

でも書き始めると、自分の言葉が伝わっているのか不安で、書き足して書き足して、気がつくと、かえって趣旨がぼやけていたりする。

さらに始末の悪いことに、書いている途中わき道に面白そうなものがあると、つい寄り道してしまう。結果、周りくどかったり、まるで無関係なエピソードを挟み込んだりしてしまう。

人との付き合いでも同じようなところがある。最初はうまく付き合っていけるのかな、と不安に駆られ、疲れるまで気を遣ったりするのに、いざ関わらなくてもよい段になると、どうにも離れがたい。別に特別意識しているわけではない相手なのに、離れがたい。

こうして、有形無形いろいろなものを捨てられずに、背負い、抱え、ぶら下げながら、今日もよそ見をしながら歩く。