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【2万pv突破】東京アレルギー  作者: 晴後くもり
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「銀行って流行ってるのかな」


金曜夜。美容院を予約していた。


お金を下ろすべく、パン屋と薬局に挟まれて肩身の狭そうなATMに入る。手狭な店内だが、5人ほどの列をつくっていた。


少と幼の間くらいの女の子を連れたお母さんがパネルを操作している。女の子は退屈そうで、カードローンの手引きなどを、「お母さんの分もとっておくね」といいながら、器用に2部ずつ引き抜いていた。


お母さんが手続きに手間取っている間に列は進み、わたしの番がきた。後ろには既に列ができている。


女の子が、

「こんなに人いっぱいいて、銀行って流行ってるのかな」

と言う。


ふふ、と笑いそうになるのを堪えて、先にATMを出た。きっとあのお母さんも、普段口癖のように、行列を成すカフェやラーメン屋を見て、「流行ってるのねえ」と言っているに違いない。想像して、今度は一人、ふふ、と笑った。


予約の時間まで少しあったから、近くのアウトドアショップに入った。


店内は温かみのある色で整えられていて、仕事帰りのサラリーマンたちが山渓グッズを手にとり眺めている。草臥れたスーツをまとった男たちにとってのオアシスだ。都会の喧騒を忘れ、いつか見る景色に想いを馳せて。みんな優しそうな目をしていた。


あの子のお父さんもアウトドアが好きな人だったらいいな。などお節介な気持ちになりながら、美容師さんにいつもより愛想よく振る舞った。




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