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【3万pv突破】東京アレルギー  作者: 晴後くもり


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蝋燭の灯を絶やさないように

仕事終わりに新幹線に乗っている。

世間的には火曜日も祝日であるため、月曜日に休みを取れば四連休が完成する。学生は春休みということもあり、東京駅はいつも以上に人が出ていた。


私はかねてより、新幹線はみどりの窓口で切符を発券するタイプであったのだが、今回思い切ってスマートEXという発券スタイルを試みた。定期券でも使用しているモバイルSuicaと併せて、スマートフォン一台で完結する利便性に惹かれたのである。


意気揚々と、改札を抜ける。ワンタッチの手軽さで。これまでとはスムーズさが違う。スマートさも違う。通過速度だって、時速に換算すれば1km/hは違うだろう。さすがはスマートEX。


その足で軽やかにキオスクにinすると、ちょっといい駅弁をこれまた揚々と購入。もちろん支払いはモバイルSuicaで。


変わったのだ、私の駅中スタイルは。無駄な工程は一切ない。高らかに歌い上げたくなるような、ネオハッピーライフの始まりだ。


そう思っていたのも束の間、私はある大きなリスクを見落としていた。



充電がないのである。


充電が切れるということは、それはつまるところ、切符を無くすことと同義である。不幸にも新幹線自由席、電源のないタイプの車両である。


己の身体を質に取られたまま、切符を渡すまでは、一生外へは出られない。意気揚々と抜けた改札は、いまや無限牢獄の檻と化したのである。


とにかく残り18%を切ったスマートフォン(この頃は一桁を待たずしてプツリと電源が切れてしまうことが多々ある)を、頼りない蝋燭の灯を絶やさないように、大切に大切に見守ることしかできないでいる。


目的地にはあと2時間ほどで到着する。

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