気をつけない
頭良いよねとか、賢いねとか、言われると居た堪れない気持ちになる。
照れももちろんあるのだけど、それ以上に、
頭良いと言われて気持ちよくなる人だと思われているんだと思うとおっかない。頭良い人には頭良いって褒めることはないのだ。頭良いで片付けられているところも寂しい。
こういうところを気にしているあたり、結局言われて気持ちよくなっているのだが、気づかないふりをする。
昨夜の夢。甘い顔の人が出てきた。
甘い顔の人が、甘い服を着ているとビビってしまう。鬼に金棒。
自分に似合うことがわかっていて、装備しているという自負か、こっちが勝手に引け目を感じているのかはわからない。
ただ目を離せずにいると、甘い顔の人がどんどん姿を変える。四肢がどんどん蕩けて伸びていく。他のところからもさらに足が生える。
ぜんぶで長い足8本と、元は腕だったらしい短い足2本になって変化を止めた。顔は依然として甘いままだ。
タコ以上イカ以下の足を持った甘い人を、「ゲソあま」と名付けた。今度白いコートに薄ピンクのニット、グレーの手袋の女を見かけたら「ゲソあま」と呼んでやろうと思う。心の中で。
嫉妬だということは、気づかないふりをしようと思う。