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二階崩れの変

 

 天文十九年二月、1550年。


 三好家が七国を跨る大大名になった事も報せには届いていたが、それよりも、俺の爺ちゃんにあたる大友義鑑が殺された身内の問題の方が我が家を騒がした。


 俺の謹慎もこの急報により強制終了させられ、評定の間に呼ばれたのだ。更に、この機会にと8歳であるのに特例として正式な評定衆に選ばれた。うん、俺も出世したな。


領民の皆さん、親父から土地を無理矢理渡されたんで、飾りのお偉いさんやってます。以後よしなによろしゅうな。



「今回も若様の占術は的中ですか……」


「為松殿、陰陽道ですよ」


「これは大変失礼致しました」


 一条家の四家老の内の一人、為松さんが土井さんに訂正された。別にそこ、そんなに訂正する所じゃ無いんだが。


「父上、発言の許可を」


 因みに、大友義鑑は殺されたが、親父である一条房基は生きている。


 やはり、突如として自殺するのでは無く、武力を用いて攻撃的な、正しく時代に順応していく戦国大名的な親父の言動に何故かムカついた、京の一条家からの暗殺だったらしい。いやいや、環境に適応していかないと生きていけんよ。こんなに有能な親父を殺そうなんて、やめてクレメンス。


 にしても、史実では、突然の自殺と扱われていたが、実際は、俗説の暗殺説だったとは。案外、俗説も舐めちゃいかんね。


 で、その暗殺者は、依岡さんが登用してきた忍者達の監視の網に引っ掛かり、親父を狙った暗殺者は捕まったのだ。


 俺は盛大に吐き出したり、狂乱しながらも、直接、俺の手でその暗殺者の首を刎ね落し、死体をバラバラにして処理し、京に居る一条家に生首を始めとする死体を送った。


 親父や土井宗珊にすら内緒で行ったのに、親父に呼び出された。


 俺は今でも、あの時、怒られたのか、褒められたのか良く分からない。


 ただ、一条本家から書状が来たんだと確信しただけだ。


「うむ、良かろう。申してみろ」


 親父は腕を組んで顎をしゃくり、いちいち偉そぶって許可を出した。


 仕方ねぇ、こっちも馬鹿丁寧に返してやんよ。


「恐れながら、ケッチ船と云う物を造って頂きとう御座います」


 家臣一同、なんだそりゃと云う顔に一瞬なったが、


「また若様の発明ですか」


 と、勝手に頷いていた。


 いや、まだ何も説明してないのに勝手に納得すんなし。



「なんじゃそれは?」



 流石、親父。


 ニヤニヤしながら俺の説明を促してくる。


 俺はえへんと、咳払いしてから一気に喋り通した。


「ケッチは帆船の一種で、戦時は軍艦として、平時は交易船として用いようと思っております。。この日ノ本だけで無く、明や東亜にも行く事も想定しております故、全長は十間から二十間で大きいです。大まかな構造としては、二本のマストと呼ばれる大きな柱を取り付けた船で、より大きい柱をメインマストと呼び、その後方に少し低い柱、ミズンマストを持ちます。その両方に縦帆を張ります。ケッチは、バランスが良く、これでも他の南蛮船に比べ、小さい為、操作も簡単で、更に、長距離の航海が可能です。また、風上に向かえるだけでなく、舵を使用せず帆だけでの操船も可能です。更に、その船の左右と前方に、先日開発致しました棒火矢を大量に設置すれば、まさに鬼に金棒で御座います。南蛮のガレオン船は、3本マストを搭載し、船体は500〜600トンほどで大きいですが、この船は性能よりも派手さを意識していたので、船の性能は悪くスピードもあまり出ません。故に私の発明の方が偉大で、合理的且つ実用的なのです。QEDッッ!!!」



「あいわかった。土井と相談してその某船を造るが良い」


 親父の返事、即答っつうか、滅茶食い気味ィィィ。


 俺が何言っているのか分からないから土井さんに押し付けただろと、評定衆一同そう思いながら、親父の決断に平伏した。


 よっしゃ!これで、サツマイモとジャガイモとトウモロコシを東南アジアから取ってこれるぜ!


 来年には、大友宗麟の所にフランシスコ・ザビエルが居る筈だから、そのコネで南蛮貿易するか。


 丁度、今年から椎茸の採取が可能な時期だからそれで造船の為の資金調達をしよう。


 俺はキノコ嫌いだから食べないけど、儲かるのはいいな。


 次は醤油とか作ってみるか。


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