表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔境生活  作者: 花黒子
~知られざる歴史~
157/370

【ジェニファーのスカウトキャラバン2日目】


 朝方、目を覚まして食堂に行くと、朝食のパンが用意されていました。

 チェルさんが作る平たいものではなく、黒く固いパンです。


「おはようございます」

「おはよう。よかったら猪肉のスープもあるが、どうする?」

 台所にいる山おやじが聞いてきました。

「いただきます」


 見た目は野菜と猪肉のごった煮のようですが、調味料がいいのか全身がじんわりと温まり、ゆっくりと目が覚めるようでした。


「日の出前に下の川で水を汲んできたんだが、山道にポイズンスパイダーの死体があった。あれはあんたの仕業か?」

「ええ、おそらく。あの死体は山の動物が片付けてくれると思ったのですが、そんなことはないんですか?」

「いや、烏が食べていくさ。それより、たった一人でポイズンスパイダーを相手にするなんて危険だぞ」

 山おやじは心配してくれているようです。膝が悪いのか、足を引きずって私の前の椅子に座りました。一緒に食べた方が美味しいことを知っているようですね。


「咄嗟のことだったので、思わずメイスを振り下ろしてしまっただけですよ」

「たまたまの一撃で、あんな風に魔物の身体は凹まない。あんた、今までどこにいたんだ? ここら辺の者じゃないだろ?」

「魔境です。私は魔境の使者として、サバイバル術を広めるために旅をしてるんです」

 そう言ってマニュアルの冊子を見せたのですが、あまり興味がないようです。

「魔境って国の東端にある辺境の地か?」

「そうです」

「あんな場所、人は住めないだろ?」

「今は住んでいるんですよ。まだ10人にも満たないですが」

 懐から王家の印籠と証明書を見せました。

「本物か? これが本物だとしたら、従者を付けた方がいいぞ」

「従者が足について来られれば、つけますけどね。魔境にいる方たちは、なにしろ足が速いですから」

「どのくらい速いんだ?」

「魔境からホワイトオックスまで半日ほど、といったところでしょうか……」

 冗談だと思ったのか山おやじは笑っていました。


「馬でも5日はかかるぜ。そうなるとあんたは馬よりも速いってことになる」

「マキョーさんよりも遥かに遅い私でも、さすがに馬よりは速いですよ……。あれ? それっておかしなことでしたか?」

 そういえば、馬よりも速く動ける人間などいなかったように思います。魔境の常識はずれな生活によって、外の常識が思い出せなくなっていました。

 山おやじは頭がおかしくなってしまった者を見るような目で私を見つめています。

 

「いや、そんなことよりも、山にいる里の人たちが魔物によって苦労していると聞きました。できるだけ早く魔物を討伐したいのですが、魔物の住処に心当たりはありませんか?」

 変だと思われると動き難くなるかもしれないので、話題を変えておきましょう。


「坂を上ったところにある廃坑がポイズンスパイダーの住処になってるんだ」

 気を取り直して山おやじが教えてくれました。

 スープの汁が飛ばないように、椀から遠ざけて地図を広げます。

「どの辺りでしょう」

「ここだな」

 山おやじが指示したのは、昨晩、討伐し終えた廃坑でした。

「そこはもう済んでいます。他には?」

「済んでいるって?」

「昨夜、中に入ってポイズンスパイダーをすべて狩り終えました。卵も潰したので、もう大丈夫でしょう」

「……」

 山おやじは口をぽかんと開けて止まっています。


「確認しますか?」

 山おやじは頷いていました。

 もしかしたら外に出ていて、昨夜は住処にいなかったポイズンスパイダーもいるかもしれないので、朝食後に確認しに行くことになりました。


 結果、やはり住処にいるポイズンスパイダーは狩り終えていたようです。

「全部、一撃で仕留めていたみたいだが……?」

「ええ、私には魔物をいたぶるような趣味はありませんからね。あ、これ魔境産の回復薬です。膝に塗るといいでしょう」


 膝がみるみる回復した山おやじは興奮して、「なんでもやりますから指示を出してください」と態度を改めていました。やはりマニュアルを伝えるより、魔境の実力を見せるのが、一番伝わるのかもしれません。


 一度、山小屋に帰り、スコップと鍬を持って、山の廃坑と鉱山へ向かいます。

 ワイルドベアの他、ベスパホネットなど見知った魔物が棲みついているようなので討伐していくことに。山に住む里の人たちからの目撃情報は来ているのに、討伐してくれる冒険者はやってこなかったと山おやじは嘆いていました。


 廃坑の入口に落とし穴を掘り、臭いでおびき寄せていきます。

「あんた、いつもこんな感じで討伐しているのか?」

 廃坑の入口で肉を焼いて、中の魔物をおびき出していると山おやじに聞かれました。

「だいたいそうですね。あ、出てきましたね」

 

 ガウッ!


 ズボッ!


 落とし穴に嵌って身動きが取れなくなったワイルドベアの脳天に鍬を振り下ろします。


「だいたい、頭が勝ち割れて死なない魔物はそう滅多にいませんから」

「そりゃそうだけど……」

「知っている魔物とはいえ、予想した通りに動いてくれるので楽ですね。毛皮と魔石が欲しければ取り出しておいてください。もう1頭、来ます」

 落とし穴からワイルドベアの死体を担ぎ上げて、脇に放り投げておきます。

 計8頭のワイルドベアを討伐し、次の鉱山へと向かいます。


 ベスパホネットが棲みついてしまったために閉鎖された鉱山では、道具や休憩所はそのままの状態で残されていました。


「まだ鉄は取れるんだけどなぁ……」

 鉱山から遠く離れた藪に隠れて、ベスパホネットを観察しながら山おやじが教えてくれました。

「あれの攻撃をどうやったら受けるんですか?」

 あまりに速度が遅いベスパホネットを見ながら、山おやじに確認したのですが、通常のスピードとのこと。

「むしろ速いくらいだ」

ダンジョンが近いので、魔物もそれほど弱いはずがないと思っていたのですが、杞憂でした。ダンジョンの影響で植生や魔物の種類が変わることはないのでしょうか。


 もしかしたら、なにか他に攻撃があるかもしれないので、陰に潜みながら近づき、飛んでいるベスパホネットの移動先にスライム壁を仕掛け、地面に叩き落としました。

 

 ベチャン!


 腹部が弾けてあっさりと動かなくなりました。

鍬を振り下ろし、頭部も切り落とします。


見ていたベスパホネットが警戒の羽音を出して、周囲に群れが飛んできました。蜂の攻撃は腹部の針か頭部の噛み付きしかありません。

特別な魔法も使ってこないような魔物の攻撃は当たりようがないので、近づいてくるベスパホネットから鍬の餌食にしていきます。


「この鍬は畑で使うより、魔物を倒すのに向いているかもしれませんね」


 サクリ。


 地面に落ちたベスパホネットの頭部と胸部の隙間に鍬を振り下ろすだけの作業です。

 仕事の手ごたえはありません。

 坑道に乗り込み、ベスパホネットの幼体から卵、巣をすべて壊し尽くし、蹂躙。汗もかかず外に出てきたのは、日が高く上っていた頃でした。


 またしても観察も判断もしていません。

 

「やったのか?」

 山おやじが興奮したように聞いてきました。

「魔境の戦い方ではないのです……」

「え……?」

 よくわからない様子でじっと鉱山を見ていました。


「そんなに見ても、もうベスパホネットは出てきませんよ。次はどこです?」

「ああ。あとは里だけだ」

 山にいくつか里があり、そのうちの一つが魔物に襲われていました。


「旦那はアラクネに殺され、子供がハーピーに連れ去られてしまって……」

 山にある里のおばあさんが、そう証言していました。

 里は周囲は山に囲まれ、わずかな土地で畑を開墾。山の山菜、キノコを採取して暮らしているそうです。

鉱山労働者を労う宿場も昔はあったそうですが、今は廃坑が増えて宿もなくなったとか。

「お子さんっておいくつなんです?」

「6歳だったです」

 腰の曲がったおばあさんが、6年前に子供を産めるとは思えません。

「何年前の話なんですか?」

「30、いや40年ほど前の話です」

「さすがに、それは時を戻さないことには、どうにもならないと思います。今、起きている被害を教えてくれませんか?」

 私がそう言うと、慌てた様子でハーピーに連れ去られたことがあるという息子さんが畑からやってきました。


「すまん。うちの母さんがなにか言ったんなら謝るよ。滅多に里に人が来ないもんだから、何か喋らないといけないと思って混乱してるんだ」

「ああ、そうですか。それで、魔物の被害は?」

「魔物というか、鹿と猪が畑を荒らしていくんで、どうしたものかと……」

 被害は魔物ですらないようです。

 猟師もいなくなり動物を狩ることもできなくなっているため、付近の動物は増え、それを目当てにブラックウルフという狼の魔物が出るのだとか。

 

「じゃあ、とりあえず里の周りに落とし穴を仕掛けますから覚えてください」

 里には若者もいて、山賊のような格好をしていました。

「憧れる対象が山賊しかいないんだ。商人は嫌われてるしな」

 山おやじが説明してくれました。


「よかったら見ていってください。簡単な仕事ですから」

 若者たちにそう言って、スコップで落とし穴を仕掛けていきます。穴に竹か毒を仕掛けようとしたら、おばあさんが毒草を持ってきてくれました。

「麻酔の薬だ。使えるかい?」

「ありがとうございます。できるだけ持ってきていただけると助かります」

 おばあさんに触発されたのか若者たちが籠一杯に毒草を持ってきてくれました。

 里の周囲に出来上がった落とし穴は30個ほど。近くの木に赤いリボンを結び、目印にしておきます。

 

「鹿や猪はこれでどうにかなると思います。あとは畑の周囲に柵を作ってください。トドメは斧や剣でなくていいです。この山の魔物程度であれば、鍬で十分対応可能です。犬を飼うのもいいと思いますよ。なにか質問は?」

「こんなに早く落とし穴を掘れるようになるのかい?」

 若者のひとりが聞いてきました。確かに時間をかけずに掘りましたが、もう少し丁寧に教えた方がよかったかもしれません。

「これは慣れです。何度もやっているうちに、仕掛ける場所も掘り方もわかってくるでしょう。では、魔物が来た場合の対処法について教えます」


 魔境のサバイバルマニュアルを渡したのですが、字を読むのが苦手な人が多いようなので、山おやじを実際の魔物と仮定して、「観察」「判断」「動きを止める」などの方法を解説していきました。


「これさえわかれば、別に山賊にならずとも里の外でも冒険者としてやっていけるでしょう」

「でも、町の人は馬鹿にしてきたり、騙してきたりしないか?」

 里の人たちは一歩踏み出す勇気がないようです。

「確かに悪い人もいますが、嫌になったら逃げればいいのです。どうしてもダメだったら、エスティニア王国の東の端にある魔境に来てください。追放された者たちばかりが集まっていますから」


 その後、里にマニュアルを一冊置いて、他の里や鉱山を回りました。

 道中、崖上にハーピーの姿もありましたが、特に人を襲う様子はありません。

山賊のねぐらと呼ばれていた古い霊廟跡は、鉱山労働者が怪我した時の療養所として使っている場所でした。温泉が出ているので、湯治にはいいそうです。

崖崩れなどで山道が塞がれている場所を舗装して、山での依頼は完了。結局、魔境の戦い方はほとんどできませんでした。


「これで冬でも随分、人の行き来ができるようになった。助かったよ」

 山おやじは髭面をくしゃくしゃにして笑っていました。

「お役に立てればいいんですけど……」

「膝も治ったし、俺も冒険者に戻ろうかな?」

 山おやじは元冒険者だったようです。

「頑張ってください。それでは」

 依頼書にサインをもらって山を下ります。


 まったく仕事をしている気にはなりませんでしたが、町の冒険者ギルドでしっかり報酬を貰いました。

 受け取った銀貨を見つめると、なんだかやりきれない気持ちになってきます。


「このマニュアルは魔境以外では、それほど有効に見えないのでしょうか……」

 ギルド内の食堂で夕飯のふんわりしたパンとホワイトスープを食べつつ、自分の見立ての甘さを痛感していました。これでは、なんのためにわざわざ魔境を出てマニュアルを売り込みに来たのかわかりません。

 この地では魔境に適した人材を探した方がよさそうですが、目ぼしい人は見当たりません。


「緊急事態発生! 緊急事態発生!」

 唐突にギルド職員が大声を上げました。

「西の平原にサイクロプスの群れが出現! 腕に覚えのある冒険者たちは至急、西の平原に向かってください! 報酬もはずみます!」

 サイクロプスと言えば一つ目の巨人の魔物です。どれほどの大きさがあるのかはわかりませんが、通常のゴブリンやコボルトよりは大きいはず。


「サイクロプスなんて一匹現れただけでも村をひとつ壊滅させることができるのに、群れだと町を破壊されかねないぞ」

 ベテランや中堅の冒険者たちは皆、装備を確認し、大きな荷物を背負ってギルドから出ていきました。新人さんたちは緊急クエストが初めてなのか、戸惑って情報を集めているだけ。非力な女性の魔法使いパーティーは、食堂の端で息をひそめています。

魔境の人たちとは違い、魔法を放つには時間がかかるため、「我々には何もできない」と話していました。

 

夕飯も食べ終わったので、どれほどのものなのか見物がてら、討伐するのも悪くないでしょう。

「すみませんが、スコップを貸し出してくれませんか?」

「へ? スコップですか?」

「ええ」

 ギルド職員に説明してスコップを用意してもらいました。

「あなたは先日の魔境の使者の方ですよね?」

「はい」

「サイクロプスの群れを対処したことはありますか?」

「いえ、サイクロプスの対処はしたことはありませんが、小屋くらいの大きさの魔物となら毎日、戦っていましたよ」

 ヘイズタートルもトレントも、対処できないようなら今の魔境ではやっていけません。

「……そうですか」

「信じるも信じないも構いませんが、とりあえず、スコップの貸し出しをお願いします」

「は、はい!」

 使いやすいものを持って行ってくれと、いくつもスコップを用意してくれました。

 せっかくなら人数は多い方がいいでしょう。


「もしかして、お暇ですか?」

 端にいた魔法使いパーティーに声をかけてみます。

「一緒に、サイクロプス討伐に行ってもらえないでしょうか?」

「我々が行っても役に立たずと、バカにされるだけですから」

 中堅と思しき魔法使いが答えてくれました。話はできるようです。


「どうせギルドに留まってもバカにされますよ。遠くで穴を掘るだけでいいのでどうです?」

「近づかないのであれば……」

 一応、仲間たちにも聞いて同行してくれることになりました。討伐に向かうため、すぐに回復薬や携帯食などが入った大きな荷物を用意してくれますが必要はありません。


「荷物はいりませんよ。必要なのはスコップだけでいいですから、身軽に動きやすい服装でお願いします」

 ローブや杖もいらないと言ったのですが、ローブがなければ魔法使いと思われないと、ローブだけは着ていくことにしたようです。


 日が暮れる中、スコップを持った女性の魔法使いたちを連れて町を出ました。

 町の外には馬車も用意されていましたが、人数が集まらないと出発できないそうです。未だベテランの冒険者たちは鍛冶屋や薬屋で準備をしている段階。出発は深夜になりそうなので、徒歩で行くことにしました。


 街道を外れ、少しだけ高い丘の上から様子を見ます。草原で所々、背の低い木が生えているだけ。遠くまで見渡せます。

 街道から西に向かった先にある小さな川のあたりで、土埃が舞っているのが見えました。冒険者らしき革鎧を着た青年が吹っ飛ばされています。

 サイクロプスの群れは、全部で8体。身の丈は4、5メートルほどでしょうか。魔境のヘイズタートルのように分厚さはなく細身で、棍棒を振っています。食料が足りず、平原にやってきたのでしょう。叫び声を上げながら、熊を見つけると全員が向かっていきました。

 

「じゃあ、サイクロプスが熊を追いかけているうちに掘っていきましょうか」

「え!? ここですか?」

「もう敵の武器はわかりましたから。棍棒で殴るだけです。叫び声は特になにかの効果があるとは思えません。さぁ、判断は早め早めに」

 丘の上に落とし穴を掘っていきます。

 私が5つ掘る間に、魔法使いのパーティーは一つの落とし穴を掘っていきます。やはり罠作りは慣れが必要なのかもしれません。

 落とし穴を12個、作ったところで、サイクロプスの群れを挑発しに向かいます。月が明るいので、それほど危険ではありませんでした。


「魔法は放てますか?」

「ここから当てるのは無理ですよ」

「そうですか。では準備だけしておいてください。必要はないと思いますが」

 サイクロプスの群れはかなり遠くで、熊と戦っているようです。崖の隙間に逃げ込んだ熊が吠えている声が聞こえます。

 一匹ずつ、連れてきて速度を見ていきましょう。


 小石を拾いながら、崖に付近まで来ました。

 叫び声を上げているサイクロプスの頭に向けて小石を投げ付けます。


 コーン!


 頭部に小石が直撃したサイクロプスは、しばらくその場に蹲ってしまいました。頭部が弱点だったのでしょうか。

 異変に気が付いた周りのサイクロプスが、私を発見。7匹が一斉にこちらに向かって、走ってきました。

巨人なので一歩一歩が大きいのですが速度は遅く、何度も振り返り手を振って連れてきます。さながら、罠ツアーにアテンドしているかのようです。

落とし穴を跳びこえて丘の上に到着。なおも小石を投げつけていると、怒り狂ったサイクロプスが落とし穴を踏み抜きました。


ドスンッ!


片足を落とし穴に突っ込みサイクロプスが倒れました。


ドスンッ! ドスンッ!


追いかけてきた全てのサイクロプスが落とし穴に嵌り、身動きが取れなくなっています。

後は、膝の骨をスコップで砕くだけ。一体一体、丁寧に骨を砕いていき、完全に足を殺します。


「魔法でも何でもいいので、とどめを刺していってください!」

 魔法使いたちに指示を出すと、炎の塊で攻撃していました。

 動かない相手なので、魔法が外れるということはありません。サイクロプスの死体が7つできました。

小石を投げて蹲っていたサイクロプスは、そのまま倒れて熊に噛み殺されていたようです。


後からベテランの冒険者たちが馬車に乗って現れましたが、時すでに遅し。討伐が完了していたので、後片付けだけ頼んでおきました。


「こんなに簡単に魔物を倒したことないです」

「私たちは女性だけの魔法使いギルドを作ってダンジョンに挑みたいと思ってるの」

「よかったら、うちのパーティーに入らない? いや、入りませんか?」

 報酬を山分けした後、魔法使いたちが誘ってくれましたが、断りました。目的が違いますから。


「私がやったのは魔境のマニュアルに書かれていることだけです。もし、ダンジョンを攻略している最中、自分の強さに疑問を持った時はエスティニア王国の東端、魔境を訪れてください」

 マニュアルを一冊、渡して、冒険者ギルドを出ました。


 やはり魔物を倒しながら、魔境の戦い方を実践で見せていくのがいいようです。

 すでに夜でしたが、街道を走り始めました。大した仕事はしていないので全く疲れてはいません。

夜風が気持ちよく、人通りも少なく走りやすかったので、いつの間にか平原を通り過ぎていました。

 

 このままだと、ただマニュアルを配っているだけです。なかなか魔境に向いている人にも会いません。


 すでに魔境を出て2日も経っています。

「急がなくては……」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 2日しかたってないのに、2日も、と、魔境ボケなジェニファーさん
[一言] そもそも頭が弱点で無い生物っているのか? だんだん和マンチが広まっていくwww (工夫しないのが普通なら普通の方がおかしいんだがwww)
[一言] もっと、魔物がどうなったか観察した方が良いw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ